隊長機が軌道をそれていく。回避運動…では、ない! ダ…ダ…ダ…!! 白い翼のあった場所を、太い線が横切った。それが弾丸だとギルダーが気づくのに、一秒。 「隊長! ……クラーク中尉!?」 既に撃墜されたと、理解するのに一秒。 その二秒のタイムラグが、この若い戦闘機乗りにとっては、致命的だった。 「……!!」 目の前に、緑。わずかな混乱が操縦を誤らせた。ザクの目前へ…… 『上昇!上昇を!』 夢中で操縦桿を引き上げる。不用意に飛び込んできた羽虫を、ザクの単眼が見下ろす。 再び、目が合った。