モビルスーツ、ザク。その単眼が赤い光を放つ。新米パイロットギル・ギルダーはその姿に目を奪われた。 全高約18メートル。巨人と呼ぶに相応しい。その巨体は彼の視界の中で、徐々に大きく、そしてはっきりと浮かび上がっていく。今、ザクがマシンガンを構えた。 恐怖のためだろうか。戦闘機が横にそれる。この小さな翼の、なんと頼りないことか! 「敵モビルスーツに攻撃を仕掛ける! 遅れるな!」 通信機から、雑音交じりの雄たけびが聞こえる。次の瞬間、クラーク・マン中尉の駆る隊長機がその速度を増した。 後を追う…。操縦桿を握る手に、汗がにじんだ。速度を上げる。ザクへ向かって……! 流れていく視野の中に、ギル・ギルダーは隊長機の影だけを追った。訓練どおりの飛行。残り5秒。このまま目標の頭上を掠めて、爆撃…! ……と、予定より早い爆発音! そして視界が揺れた。