皇騎士奮闘記

 

第5話、決戦、ゼダンの要塞(後編)

 ……
 私、別同部隊隊長、フォーミュラは妙な小屋で目を覚ました。
 迷いの森を抜けたところで落とし穴にはまってしまったのだが、どうやらこの隠れ里に運ばれたらしい。
 しかし隠れ座との秘密を保つため、外に出すわけには行かないときっぱり言われてしまった。
 血気盛んなプラスあたりは頭に血を上らせていたが、
 私やプラチナロードのような熟年はこの程度のことでは動じない。
 村に事件が起こっていないかどうかを調べ、弱みに付け込んで外出許可をもらうのだ。
 案の定、事件はおきていた。
 子供が森で行方不明らしい。私はその捜索をかって出た。これで外に出ないわけにはいかない。
 適当に森を進むと子供はあっさり見つかる。一応、隠れ里に戻してやる。
 どうやらこの功績で、我々は出入り自由になったらしい。これを懐柔策という。

 ゼダンの要塞の裏門はここから南。
 手に入れた二つのガンダリウムでプラチナロードの剣レベルを+5、
 そして思い切ってプラスの剣を+6まで強化した。
 鎧レベルは全員、+4のままでかなり危ういのだが、攻撃は最大の防御だ。
 基本能力が低く、人数も足りないため、『気合』を連発して進むことになる。
 ぶどう酒と傷薬を大量に消費するが、我々最弱三人衆でも何とか戦っていけることが分かった。
 要塞を進むと、どこかで見た顔が階段を守っている。
 アイリッシュ砦で倒したはずのロンメルドワッジだ。
『俺の影武者を(略)』
 ということらしい。
 しかしこいつも我々の敵ではなかった。気合を連発するだけで楽勝である。
 パーティ最大のダメージを敵に与えつづけるプラスの雄姿!
 おそらくこれが最初で最後だろう。
 ロンメルドワッジを難なく撃破。
 進んでいくと皇子の姿があった。
『この扉がどうしても開かないんだ。一緒に押してみてくれ』
 皇子のことだ。どうしても開かないといっても、単に鍵がかかっているだけのことだろう。
 そして鍵を探そうともせず、力ずくで開こうともせず、我々が来るまで休憩していたに違いない。
『分かりました。では、行きますぞ』
 全員で押してみると扉はあっさり開いた。
『では、我々は右に行きます』
『僕たちは左に行くよ』
 というわけで我々は再び別行動となった。

 しかしここで予定外の事態が起きた。
 プラチナロードが敵の必殺攻撃をくらって倒れたのだ。
 元々的も味方も軟らかいのがこのゲームの特徴とはいえ、この状態で死傷者が出るとやっかいだ。
 何しろ戻る道がふさがれている。
 戸惑っているうちに私も討ち取られてしまった。無念。
 残るプラスは仕方なく一人で進んでいった。
 リーダーの私がいなくなったため、戦闘は全てオート。
 意外にも良い判断で傷薬を使いつつ進むプラス。
 メイドのナナイ・ミゲルを見逃したりもしつつ、ついに敵将、ドズルのもとまで辿り着いた。
 が、さすがに傷薬が尽きた。しかもオート戦闘では気合が使えない。
 対するドズルは

『やらせはせん。ゼダンの要塞を貴様等ごときにやらせはせんぞ』

 気合十分であった。
 当然、敗北。
 気が付くとまた隠れ里であった。

 雪辱を誓う我々は手に入れた4つのガンダリウムのうち、三つは鎧の補強に使用。
 これで鎧レベルも全員+5になった。簡単には倒れないはずだ。
 残りの一つはプラチナロードの剣を+6まで鍛えるのに使用。
 傷薬とぶどう酒を大量に買い込み、再度出陣。

 再び相見えたドズル将軍。
 さすがに三人そろっていれば楽勝であった。
 最大の攻撃力を持つプラチナロード、それに続くプラス。指揮を出す私。
 最弱といわれた我等三人が敵将を討ち取ったのである。
 ドズルは最後に、自分を倒した褒美だといって、ザビロニアがブリティスを攻めた理由を語った。
 ザビロニアは、聖杯を求めてブリティスを攻めたのだという。
 一体聖杯とは……?
 とりあえず我々は皇子たちと合流を目指すことにした。
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 僕、クラウンナイトはゼダンの要塞の左の通路を進んでいた。
 なんか、妙に意味のないことをやっているような気がする。
 すでに敵将は討ち取られているような気がする。
 なんとなく。
 敵をなぎ倒し、道を進む。
 メンバーが多い上に優秀な奴等がそろってるので、気合を使う必要すらめったにない。
 呪いとやらの影響も今のところ、なさそうだしね。
 と、進んでいくと敵のザコ・ゲルググキャノンがいた。
 なにやら偉そうだ。
 同じくザコのオークハンマとゲルベグを呼び出して……
 おお! ガズエル・ガズアルとかいう呪文でモンスターを融合させたぞ!
 で、融合モンスター、獣騎士ベルガ・ダラスと対決。
 気合。気合。気合。以下略。
 簡単に撃破。地力が違うよ。
 で、死ぬ間際に

『これで勝ったと思うなよ。ザビロニア最強の黒の部隊がいずれやってくる』

 とかなんとか。
 来るなら来いってんだ。

 どうやら敵将はやっぱり既に倒されたようなので、要塞の反対側に抜けてみる。
 宝箱がまだありそうだけど、面倒だから後回し。
 チェスターの町というのを発見したので入ってみる。

 ン……?
 なんか見られてるぞ。

 崖の上で、陥落するゼダンの要塞を見下しながら、馬に乗った騎士が一人
『ゼダンが落ちたか……』
『クラウンナイト……フッフッフ。面白くなりそうだ……』
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 チェスターの町でフォーミュラたちと合流。
 お互い、聖杯だとか黒の舞台だとかの情報交換をするけど、いまいち具体的な方針にならない。
 プラスやは黒の部隊なんて自分にかかれば大丈夫とか言ってるし。
 レッドウォーリアはプラスには無理だけど自分なら大丈夫とか言ってるし。
 とりあえず、僕はリゲルグにかけられた呪いを解く方法を探して
 その間にフォーミュラはブリティスに向かうらしい。
 で、再びパーティ分割。

 フォーミュラは相変わらず自分と後二人でいい、とかいってるけど
 かなり苦戦したらしいからなあ……
 っつーかね、最弱の癖に見栄を張らないで欲しい。
 プラスのかわりにレッドウォーリアあたりをつけてやろうか?
 ………
 いや、ダメだ。レッドウォーリアは通常攻撃が命だから、ボス戦になるとプラスより弱くなる。
 じゃあヘビィ…は、僕の側に置いておかないとこっちの戦力が不安だし。
 マーク2も……
 ……
 ………
 えぇい、面倒だ!
 フォーミュラ部隊はプラスとプラチナロードで十分!
 今まで何とかやってこれたんだから、これからも何とかなるだろ。何とかしろ!
 と、いうわけで分割終了。

 で、外に出ると……
 突然、敵が襲来!
『お前がクラウンナイトか。面白い。勝負だ』
 戦闘突入。
 あっさり全滅。
 マーク2はあの敵に見覚えがあるらしいけど、そんなことはどうでもいい。
 あの通り魔を誰か何とかしろ!
 結局僕たちは大怪我を追って、しばらく療養することになった。
 ひょっとしてこれが呪いなんじゃ……

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