第8章 トラキアの竜騎士

 

1、乱数の覇者

アルスター城を落とし、レンスターを解放したセリス軍。
しかしブルームはすぐさま反撃の軍を送り込んできた!
庶民たちはこの猛攻をしのぎきれるか!?

ラドネイ 「だがその前に闘技場だ」
セリス 「そのとおり」
リーフ 「んー。めんどい」
セリス 「何をほざくか! 君がさっさとレベル20にならないと困るんだよ!」
ロドルバン 「確かにマスターナイトは魅力的だよな」
セリス 「それもあるけど、彼の指をよく見てみなよ」
ロドルバン 「あれは……エリートリング?」
アミッド 「追撃リングもある!」
ディムナ 「スキルリングも!」
ラドネイ 「パワーリング……」
セリス 「わかっただろ? 彼が身につけた各種リングを奪い返すには
   さっさと、マスターナイトにしてやらなきゃいけないのさ」
トリスタン 「追撃リングは欲しいな……」
フェミナ 「ダメダメ。追撃リングはボクがもらうんだから」
アミッド 「そりゃないぜ。重要なのは安定して追撃を出せる風の魔法だろ」
セリス 「……。ま、本来なら追撃を持たないメンバーなんてその時点で戦力外なんだから」
ジャンヌ 「ほら、リーフ王子。皆さんも期待してますから」
リーフ 「ジャンヌはやらないくせに……」
セリス 「トルバドールのレベルなんて上げても仕方ないだろ」
ジャンヌ 「……それってひょっとして一生脇役の宣告ですか?」
セリス 「スキルなしのトルバドールをどうやって主力にしろって?
   兄弟そろってろくなスキル持ってないんだからな、お前等」
トリスタン 「聞き捨てならんな、セリス。私の『必殺』と兵種の『連続』は代表的な戦闘スキルだぞ」
セリス 「クラスチェンジまでが遠いだろうが。
   それに一番重要な『追撃』を持ってない君に発言権は無い」
ディムナ 「僕はセーフ?」
デイジー 「ディムナの癖に生意気な」
ラドネイ 「いくら追撃を持っていてもディムナではな」
ディムナ 「ぼ、僕が何をした・・・・・・」
セリス 「武器が弱いんだよ。だから決定的な戦力にならない」
アミッド 「その点、魔法は強い」
セリス 「お前は弱いけどな」
リーフ 「ねえ、レンスターに闘技場ないよ」
セリス 「じゃ、リーフはそのままレンスター城を守ってくれ」
フィン 「いや、守るって言うか元々リーフ王子の城なんですがね」
セリス 「なに言ってるのさ。前の章で僕が制圧しただろ? ぼ、く、の、も、の」
フィン 「あなたそれでもシグルド様の息子ですか!」
シャナン 「いや、シグルドの息子だからこうなったんだろう」
オイフェ 「全くですな」
フィン 「あ〜な〜た〜たちがちゃんと教育しないからでしょう!!」
シャナン 「それを言ってくれるな……フィン」
オイフェ 「やれるだけの事はやりました……無駄でしたけど」
セリス 「で、リーフとジャンヌ、フィンはレンスター城守備。
   僕たちはアルスターに向かってる森の鎧軍団を撃退だ」
リーフ 「ふーん」
ラドネイ 「三人でレンスターを守れるとは思えんぞ?」
セリス 「わかってるよ。前の章でも守れなかったもんね、こいつ等」
ジャンヌ 「そりゃ、三人じゃ……」
セリス 「馬軍団をそっちに送るから、何とかしてくれ。
   歩兵軍団は僕と一緒に鎧の相手」
フェミナ 「ボクは?」
セリス 「ペガサスもレンスター行き。村解放できたらやっといて」
アミッド 「気をつけろよ、フェミナ」
フェミナ 「え? 心配してくれるの?」
アミッド

「ああ。前から考えてたんだけど、
 お前は単独行動が多い所為で友達少ないからな」
フェミナ 「グサッ・・・・・・」
アミッド 「女の子たちのグループに入れなかったのも
 髪の色が違うだけが理由じゃないと思うぜ。だから気をつけろよ」
フェミナ 「・・・・・・・・・・・・」
リンダ 「あれぇ? フェミナさんがものすごく傷ついた表情で飛んでいきましたぁ」
デイジー 「おなかでも痛いんじゃない?」
マナ 「可哀想に・・・・・・(涙)」
セリス 「別にいいよ。ペガサスは飛んでりゃそれでいいんだ
リーフ 「もしもしセリス? なんか敵がたくさん来たんだけど」
セリス 「適当にやってくれよ。負けるような相手じゃないだろ?」
フィン 「しかし今回は兵力がちょっと貧弱ですからねえ」
マナ 「レンスターに行ったのがリーフ王子、ジャンヌさん、フィンさん、ヨハンさん、
   アレス王子、ディムナ兄さん、フェミナさん、オイフェさん。
  鎧部隊に対応してるのがセリス様、ロドルバン、ラドネイ、トリスタン
   シャナン王子、アミッド、リンダ、レイリアさん。それに私とユリアですね」
セリス 「よし、さっさと鎧を蹴散らしてレンスターに加勢するか」 
ロドルバン 「でもなあ……森ってこともあって移動がままならないから狙い撃ちされやすいし
   相手がアーマーだと一回の攻撃で止めをさせないし。
   ちょっと攻めにくいな」
ラドネイ 「確かに……やりづらい」
セリス 「いいんだよ、とにかく力で押せば
マナ 「セリス様……そんな力ありません」
セリス 「……庶民はこれだから……」
マナ 「そんな……(涙)」
レイリア 「ダメよ、セリス王子。恋人はもっと大切にしなきゃ」
セリス 「は? 恋人」
レイリア 「ええ。あなたの恋人でしょ、マナは」
セリス 「!? 馬鹿な……」
ラドネイ 「本当だ。いつの間にか恋愛成立してるな」
リンダ 「らぶらぶですぅ」
マナ 「え、えっと……」
セリス ………フーン、ソウ。ベツニ……
アミッド 「珍しく気が動転してるな、セリス」
セリス ダレノキガドウテンシテルッテ?シッタフウナクチヲキクナヨショミン
トリスタン 「完全に混乱しているようだ」
ロドルバン 「まあ、知らない間に恋人ができてたら普通は驚くよな
デイジー 「知らない間に、か……。使えるかも……」
シャナン 「……? 寒気が……」
トリスタン 「ところで敵が迫っているが?」
ラドネイ 「まあ、適当に戦っておくか……」
   
  一方レンスター
   
アレス 「そういえばリーフのレベルはどれくらいまで上がっているんだ?」
ジャンヌ 「確か10ぐらいまでは……」
ディムナ 「エリートリングがあってそれだけ?」
ヨハン 「我々に経験値が回ってくる日は遠いな」
フェミナ 「ヨハンにはどの道まわらないと思うけど……」
フィン 「とにかく、敵の騎馬隊が接近中です。各自迎撃してください」
ジャンヌ 「さあ、リーフ王子。そこの敵を倒してください」
リーフ 「めんどいなあ……」
アレス 「俺に任せろ! 俺とミストルティンに敵は無い!」
ディムナ 「あ、危ないってそんな前に出たら……」
オイフェ 「少しは頭を使わないといけませんな」
ディムナ 「そうそう。オイフェさんの言うとおり。
   僕が思うにさ、敵のトルバドールは攻撃能力が無いわけだから、とりあえず放っといて
   攻撃力のある奴を優先して狙ったらいいんじゃないかな」
オイフェ 「うむ。いい作戦だ」
デイジー 「ディムナにしては」
ディムナ 「デ、デイジー。なんでこっちに……」
フェミナ 「確かにディムナの癖にいい作戦だね」
ジャンヌ 「ディムナとは思えませんね」
ディムナ 「………」
ヨハン 「はっはっは。女性にこれだけ誉められるとは君もなかなかやるようだね」
ディムナ 「本気で言ってる……?」
ヨハン 「もちろんだとも!」
フィン 「……で、とりあえず接近してる敵トルバドールは放っておいてターンエンドですね」
リーフ 「ふーん」
敵トルバA 「あれ、わたしたち見逃されたみたい」
敵トルバB 「じゃあ……いいのかしら?」
敵トルバA 「いいんじゃない?」
敵トルバB 「そうよね」
   
  制圧。
   
フィン 「あぁぁあぁあぁあぁぁ!!」
リーフ 「城壊されたね」
ジャンヌ 「そういえば戦闘能力は無くても制圧は出来るわよね……」
フェミナ 「うん……そだね」
フィン 「レンスター城が……キュアン様の城が廃墟に……」
アレス 「作戦ミスだな」
デイジー 「ディムナのね」
ディムナ 「え……」
フィン 「ディムナ……あなたの作戦の所為で……」
フェミナ 「まあ、ディムナだからしょうがないよ」
デイジー 「しょせんディムナよね〜」
ディムナ 「そ、そんなぁ〜〜〜」
フェミナ 「もしもしセリス皇子!? レンスター落とされました」
セリス 「何やってんだ! もっと手早く敵を片付けろよ」
リーフ 「そっちだってまだ終わって無いじゃん」
ラドネイ 「鎧部隊が意外としぶとくてなあ」
ヨハン 「ラドネイ、やはり君には僕の愛が必要なのだ!」
ラドネイ 「要らん」
セリス 「とにかく、レンスターはレンスターで何とか敵を倒しておくこと!」
ロドルバン 「こっちもこっちで敵を倒さないとなあ」
セリス 「まったく、面倒な……喰らえ鎧男!(ぴろーん)
マナ (ぴろりろーん)
アミッド 「お?」
ラドネイ 「これは……」
リンダ 「らぶらぶあたっくですぅ!」
マナ 「ポッ……」
セリス 「支援効果を使っただけだ!」
リンダ 「いいなあ・・・・・・私もらぶらぶあたっくしたいですぅ」
トリスタン 「まあ、いずれ……」
アミッド 「何ィッ!? トリスタン、お前まさかリンダを狙ってるんじゃないだろうな!」
リンダ 「お兄様ぁ。ダメですの?」
アミッド 「当たり前だ! ラブラブアタックがやりたいなら俺とやればいい!
ロドルバン 「危ない奴……」
レヴィン 「まあ、この世界じゃあ珍しくないが」
ユリア 「クスクス……」
ラドネイ 「攻撃の支援効果か……確かに嬉しいな」
ヨハン 「ラドネイ! やっと私の愛を受け入れてくれるんだね!」
ラドネイ 「いらん」
デイジー 「あんたはその斧男で十分よ。シャナン様はあたしのもの。富も名誉もあたしのもの」
ラドネイ 「何ィッ!!」
レイリア 「あー、また始まった」
マナ 「そんなことで喧嘩してないで……」
デイジー 「なによ、一番最初にくっついたからって余裕見せて!」
マナ 「そ、そんな……」
ロドルバン 「いや、セリスの手が早かったんじゃないか?」
レヴィン 「シグルドも手が早かったからな……」
シャナン 「全くだ」
セリス 「そこッ! 私語は慎め! 
   デイジーはこんなところで油売ってないでさっさとレンスターに移動しろ!」
デイジー 「はいはい」
セリス 「シャナン! 敵の中に突っ込め! 他の奴等は観戦!」
シャナン 「結局バルムンク頼りか」
   
  こうしてようやく森の中の戦いは決着となった。
  一方レンスター。
   
アレス 「このミストルティンの前に魔法など通じるか!!」
ヴァンパ 「馬鹿な!」
エリウ 「このわたしが!」
フェトラ 「負けるとは!」
ジャンヌ 「ヴァンパ三姉妹、撃破ですね」
フェミナ 「アレスだけで倒したんだけどさ」
フィン 「魔法に抵抗できるのは彼だけですからね……」
フェミナ 「で、その後に変な奴がいるよ」
ディムナ 「へー、どれどれ……」
   
ブルーム 「ふっふっふ。ゆけ! コノートのヒットマン、アサエロ!!」
アサエロ 「俺は貴族が嫌いだ。だからお前も嫌いだ。だからこんな仕事はしない」
ブルーム 「まあまて。セリスも貴族だぞ」
アサエロ 「よし、セリスを殺そう」
   
ディムナ 「なんか目の細いのが来たなあ。僕と同じ弓兵だって」
デイジー 「なんだ、兄貴じゃん」
ディムナ 「へ?」
アレス 「なんだ? 殺しちゃまずいのか?」
デイジー 「ダメダメ。あたしが言いくるめて味方にするから。あんたはその後ろの女を退治して」
アレス 「その後ろというと……アレか」
   
ブルーム 「イシュタル、イシュトーの仇だ。セリスを討て!」
イシュタル 「ではトールハンマーを下さい」
ブルーム 「は?」
イシュタル 「トールハンマーがあれば倒せます」
ブルーム 「しかしそれは家宝……」
イシュタル 「さよなら」
ブルーム 「待て! わかった、やるから帰るな」
イシュタル 「では、出撃します」
   
アレス 「強そうだな……ヴァンパ三姉妹との連戦はきつい」
ジャンヌ 「一度戻って、回復してからじっくり戦えばいいと思いますよ」
ディムナ 「そうだね」
セリス 「ダメだ!」
リーフ 「あ、セリスから電話」
セリス 「アレス、右上に村が見えるだろ。アレを破壊させるな!」
アレス 「あれか……? もう半分ぐらい壊れてるが」
セリス 「あそこにはパワーリングがあるんだよ! 絶対守れ! いいな!」
リーフ 「電話切れた」
アレス 「セリスめ……この俺に偉そうに命令するとは」
フェミナ 「あの村を助けようと思ったら、一度戻ってじっくり、なんてやってる暇無いよね」
アレス 「だがあのアサエロとかいう奴を放っておけば俺もダメージを食らう
   その上でさらにイシュタルをしのぐのはこの俺といえどさすがにきついぞ」
ジャンヌ 「でもアレス王子以外、誰も届きませんよ」
ディムナ 「フェミナは?」
フェミナ 「位置が遠いし、弓がいるから怖くて動けないよ」
フィン 「とるべき手段は……」
デイジー 「乱数調整……」
   
セリス 「なるほど。乱数調整が必要か」
トリスタン 「アレス王子が連続と必殺を両方決めてイシュタルを撃退しなければならないわけか」
ユリア 「ククク……」
セリス 「ん?」
ユリア 「セリス……イシュタルと戦ってはいけません……」
セリス 「ああ、例のイタコか」
リンダ 「イシュタルお姉様がきたんですかぁ」
アミッド 「リンダは下がってろよ、危ないからな」
ロドルバン 「こんなところまでイシュタルだってこないだろ」
セリス 「よし、乱数調整開始。城に残ってる奴、闘技場にいけ」
マナ 「…………」
セリス 「どうした? 早く闘技場だよ!」
マナ 「あの……」
セリス 「?」
マナ お城、誰も残ってないんですけど……
セリス 「何ィッ!?」
オイフェ 珍しくヨハンまで使ってますからな」
セリス 「それじゃあレンスターの闘技場を使え!」
フィン 「壊れてます」
デイジー ディムナの所為で
セリス ディムナめ……
ディムナ 「………」
セリス 「誰か、戦闘を出来る奴はいないのか?」
トリスタン 「私は全力で走れば右下のむらの盗賊と戦えるな」
セリス 「一人だけ……か。しかたない。可能な限り乱数調整するぞ。
   アレスはアサエロを無視してイシュタルに接近しろ」
アレス 「いいだろう」
アサエロ 「待て! 俺を無視して走っていくお前! ひょっとして貴族か!」
アレス 「俺はアグストリア・ノディオンの獅子王エルトシャンの息子、アレスだ!」
アサエロ 「貴族だな! よし、死ね!」
ディムナ 「いいなあ、銀の弓」
アレス 「クッ……アサエロとやら、この傷の仮は返すぞ、後で!」
セリス 「ほら、アサエロなんてどうでもいいんだよ、イシュタル! 問題はイシュタル!」
イシュタル 「この雷神イシュタルにかなうものか」
アレス 「何をッ! 喰らえ!」
イシュタル 「スカッ」
セリス 「ハイ、リセット。トリスタン、勇者の剣で盗賊を攻撃してみて」
トリスタン 「了解だ」
盗賊 「あいとわ」
セリス 「で、アレス」
アレス 「くらえミストルティン!」
イシュタル 「ザクッ。単発」
セリス 「ハイ、リセット。トリスタン、鉄の剣で盗賊を攻撃してみて」
トリスタン 「了解だ」
盗賊 「わからぶえ」
セリス 「ハイ、アレス」
アレス 「喰らえー−−ッ!」
ロドルバン 「おっ、出た!」
イシュタル 「連続に必殺とは……おのれ……」
???? 「あーあ。全くこれだから困るな」
アレス 「ん? 誰だ、貴様!」
イシュタル 「あ、あなたは! ユリウス様!!」
ユリウス 「せっかく神器があっても使い手が弱くちゃ、話にならんな〜」
アレス 「誰だ?」
イシュタル 「す、すみませんユリウス様」
ユリウス 「本当に済まないよな。これでフリージ軍敗北決定だし」
イシュタル 「ウッ……」
ユリウス 「まあいいや。ちょっとぐらいセリスが盛り返しても、結局世界は俺のものだし。
   で、イシュタル。お前はフリージと心中する必要は無い。一緒に来い」
イシュタル 「え?」
リンダ 「あー、お姉様ナンパされてますぅ」
イシュタル 「わ、私を必要としてくれるのですか?」
ユリウス 「必要なのはトールハンマーだよ。
自惚れんな」
イシュタル 「は、はい……」
ユリウス 「じゃ、ワープ!」
アレス 「消えた……。いろんな意味でセリスにそっくりな奴だったが……」
リンダ 「お姉様、またねぇ〜」
セリス 「よし、後は盗賊を殺してパワーリングゲットだ」
アレス 「あの男のことはいいのか?」
セリス 「いいよユリウスぐらいどうでも。さあ、進軍するぞ」
アサエロ 「その前に貴族を殺す」
セリス 「なんだ、まだ説得してなかったのかデイジー」
デイジー 「今やるわよ。おーい、兄貴!」
アサエロ 「なんだ、デイジーか」
デイジー 「兄貴、ウチの軍に入りなよ」
アサエロ 「セリスはシグルドの息子だろ。あいつは嫌いだ。
   俺が昔立ち寄った村は盗賊に襲われても助けてもらえなかったぞ。
   アイテムが無いという理由でな。
   今だって、村を助けたのはアイテムのためじゃないか。やはり貴族は嫌いだ」
デイジー 「あのさ、貴族が嫌いだったらこっちに来た方がいいって」
アサエロ 「何?」
デイジー 「だって私たちの敵、皆貴族だもん。貴族たくさん殺せるよ」
アサエロ 「じゃあ入る」
デイジー 「セリスー、説得したよ」
アレス 「ではさっきの傷のお返しをさせてもらおうか……」
アサエロ 「お前が貴族なのが悪いんだ」
セリス 「よし、後はブルームを殺すだけだ。ああ、あとアサエロはそこの村に立ち寄るように」
アサエロ 「貴族の命令は聞かん」
セリス 「あぁ!? 庶民ごときが僕に逆らう気!? いいから黙って言うこと聞けよ!」
アサエロ 「貴族は嫌いだ」
セリス 「庶民の癖に!」
アサエロ 「貴族は嫌いだ!!」
セリス 「庶民の癖に!!」
ディムナ 「ま、まあ……とりあえず村に行くぐらいいいだろ。命令とかあんまり考えないでさ」
アサエロ 「……お前は貴族か?」
ディムナ 「へ? いや、違うけど」
アサエロ 「なら言うとおりにしよう」
ディムナ 「………」
セリス 「ディムナなんてどう見ても貴族の顔じゃないだろ全く」
ラドネイ 「貴族だぞ」
セリス 「は?」
ラドネイ 「マナがお前の妻になるわけだから、その兄のディムナも皇族の仲間入りだろう」
ディムナ 「あ!」
マナ 「ハッ!」
セリス 「し、しまった……!!!」
ロドルバン 「そういえば俺たち、『庶民』って言われる割に、貴族も多いよな」
マナ ←後は王妃
ディムナ ←その兄
アミッド ←名門フリージ家の血筋
リンダ ←同じく
トリスタン ←アグストリアの重鎮の子
ジャンヌ ←同じく
フェミナ ←天馬騎士の子
レイリア 「なんだ、皆結構凄いのね」
アサエロ 「おい」
ディムナ 「ギクッ!」
アサエロ 「さっきの村で変な木の実をもらった。食べたら力が上がったような気がしたぞ」
ディムナ 「そ、そう。よかったね」
アサエロ 「この軍は庶民が多いらしいな。俺も気が楽だ」
ディムナ 「そ、そうだね……(ばれたら怒られるのかな……)」
   
  で、あっという間にブルームの城
   
ブルーム 「クソッ、イシュタルはどうした! トールハンマーは持ち逃げか!」
セリス 「そうみたいだね」
ロドルバン 「じゃ、ブルーム倒して、と」
セリス 「制圧完了。そうそう、さっき敵が勇者の弓を落としてったから、ディムナ、買い取って」
ディムナ 「やったー、勇者の弓!」
デイジー 「ディムナにはもったいないわね」
レヴィン 「セリス、よくやった。これでレンスターは完全に解放された。
   だが南のトラキアがレンスターを狙っている。
   マンスターが襲われているそうだ。助けに向かうぞ」
セリス 「了解了解。次は竜騎士退治だ」

 

2、電波

マンスターを襲うトラキアの竜騎士!
逃げ惑うシビリアン!
荒れ狂う戦乱の嵐!
そんな中、一人の勇者が立ち上がった!
……のか?

  ここはマンスター。セリス軍の到着はまだ遠い。
  しかしトラキアの竜騎士は眼前に迫っていた。
   
市民A 「ホーク様、どうすればいいのでしょうか!」
ホーク 「神に祈りなさい」
市民B 「いや、もう少し具体的にお願いしますよ」
ホーク 地に額をこすりつけて私を拝め! そうすれば万に一つも救われるかもしれん」
市民A (お、おい。ホーク様の様子がおかしいぞ)
市民B (なんでもルテキアに出張した時に怪しい薬を飲んだらしい)
ホーク 「フッ……。私は目覚めたのです。私が真の神であることに……
市民A (おい、ますます話が怪しくなってきたぞ)
市民B (は、話をあわせておけ)
ホーク 「フッフッフ。トラキアの騎士など、私の力の前では赤子に等しい」
市民A 「さ、さすがはホーク様。是非その力でトラキアの連中を倒してください」
市民B 「その間に私たちは逃げます(主にあなたから)」
   
  こうしてマンスターからは市民が逃げ出し、都市はホークの私有地となった。
   
竜騎士A 「ここがマンスターか。よし、一気に占領するぞ」
竜騎士B 「ああ……うわっ!」
ホーク 「フッ……都市を見るや否や突進してくるとは、まるで餓鬼のようだぞ」
竜騎士A 「なんだって!?」
竜騎士B 「このマンスターはトラキアがもらうんだ!そこをどけ!」
ホーク 「君たち、少々行儀が悪いな。……ライトニング!」
竜騎士B 「ぎゃあぁぁぁぁ……!!」
竜騎士A 「こ、こいつ強いぞ!」
竜騎士C 「あ、アルテナ様に報告だ!」
   
アルテナ 「そんなに強い敵がいるのか?」
竜騎士 「しかも自分は神だとかなんか言ってます」
アルテナ 「ち、近づきたくない奴だな……。私はここで観戦しよう」
   
  そんな中、セリス軍はマンスター救援のため、行軍を続けていた。
   
セリス 「お、マンスターから愚民どもが逃げてきたぞ」
フェミナ 「経験値経験値♪」
セリス 「誰に経験値を与えるべきか、だよな……」
アミッド 「ちょっとレベルが遅れ気味の俺を頼むよ」
フェミナ 「ダメだよ。ボクだって早くファルコンに乗りたいもん」
リンダ 「わたしもけーけんちほしいですぅ」
セリス 「………。リーフ。レベルは?」
リーフ 「10ちょっと」
セリス 「闘技場が終わった時から変わってないじゃないか! 何やってんだ!!」
リーフ 「だってめんどいし」
セリス 「だあっ! 話にならん! おい、愚民どもを優先してリーフに回せ!」
アミッド 「そりゃないぜセリス」
フェミナ 「せめて半分にしようよ。リーフ王子はどうせエリートリング持ってるんだし」
セリス 「わかったよ。半分リーフ。後はおまえらで分けろ。
   あと、リーフはこれから最前線で働け! めんどいとか言ったら殺す!」
リーフ 「〜〜〜(ご不満)」
ジャンヌ 「王子、ここは我慢ですよ。もう少しでマスターナイトになれますからね」
トリスタン 「ところでマンスターでは賢者が一人で敵を食い止めているそうだな?」
アレス 「らしいな」
セリス 「ん? ひょっとしてあれのこと?」
フェミナ 「え?どれどれ……」
   
ホーク 「餓鬼界に落ちるがいい! ライトニング!!」
竜騎士C 「ば、化け物め……」
ホーク 「化け物ではない。私は神そのものなのだぞ」
   
セリス 「……何あれ
フェミナ 「……に、兄さん……」
アミッド 「え!?」
アレス 「あれが次の仲間か? 実力はありそうだが……」
ロドルバン 「追撃と連続両方あって、能力も高い。光の魔法まで使える。
   確実にアミッドよりも強いよな」
アミッド 「………お、俺のナンバーワン魔術師伝説が……」
フェミナ 「ないない。そんなの始めっからない」
セリス 「あれに話し掛けて仲間にするのか……嫌だなあ…」
ディムナ 「それより先にドラゴンナイト達を倒さなきゃ」
アサエロ 「腕がなるな……」
ディムナ 「うん、ワクワクする」
マナ 「兄さん、いつになく好戦的なのね?」
ディムナ 「弓兵は飛んでる敵を見るとこうなるのさ」
セリス 「ま、おまえらは竜騎士を倒しといて。僕はあの変なのを引き抜いとくから」
ディムナ 「了解。勇者の弓ッ!」
アサエロ 「銀の弓ッ!」
ロドルバン 「張り切ってるな、あいつ等」
リーフ 「あーあ。剣を振るのって疲れる」
ジャンヌ 「ファイトですよ、王子」
フィン 「王子、ホラ、あそこをご覧下さい」
リーフ 「ん?」
フィン 「あそこの離れたところにいる竜騎士ですよ」
リーフ 「ふーん。ひまそうだね」
フィン 「あの騎士が持っている槍の輝きはまさにゲイボルグの輝き!」
リーフ 「なにそれ」
フィン 「いや、キュアン様の……」
セリス 「おい、リーフ! 敵が来たぞ! 止め刺しとけ!」
リーフ 「はいはい」
フィン 「あ、あの、私の話を……」
セリス 「後にしろ!」
フィン 「………」
ホーク 「フフフ……竜騎士たちよ。せめて死した後はこのホークの教えに目覚めるがいい」
セリス 「君がホーク?」
ホーク 「いかにも。私が神の中の神、ホークだ」
セリス 「神でも蟹でもいいけどさ、君が敵を倒すと経験値が無駄になるんだよね。
   さっさと仲間になってくれる?」
ホーク 「私には正義と悪がわかる。私は正義だから君は私を求めるのだね」
セリス 「もうちょっと意味の通った会話をしてくれる?」
ホーク 「フッ、いいだろう。君の軍の御神体として降臨してあげよう」
セリス 「だから話の脈絡を……」
ホーク 「安心したまえ、私は神だ!
セリス 「………」
マナ 「め、珍しいですね。セリス様が沈黙なんて」
フェミナ 「兄さん……何があったの…」
ホーク 「フッ、フェミナか。安心しろ。私は真実の教えに目覚めただけだ」
ロドルバン 「無駄に怪しい奴だな……」
トリスタン 「こういう男は行動が計算できないから困る……」
セリス 「………まあ、とにかくマンスターは守りきれた。
   あとは竜騎士の増援を相手にリーフのレベル上げをやって、敵城を攻略かな」
リーフ 「僕だけぇ?」
セリス 「そうだよ。一人でそこに突っ立ってろ。敵は無限にやってくるから」
リーフ 「めんどいなあ」
セリス 「文句いわずにやれ」
リーフ 「剣を振るのも疲れるんだよ……」
竜騎士E 「ぎゃあっ!」
リーフ 「めんどい」
竜騎士F 「ぐふっ!」
リーフ 「つまんない」
竜騎士G 「無念ッ!」
ロドルバン 「愚痴言いながらもどんどん斬殺していくよ……」
ディムナ 「さすがというべきかな……」
ラドネイ 「聖戦士の血か……」
アミッド 「血だったら俺だって…」
   
アルテナ 「なんか恐ろしい子供がいるな……退却しよう」
   
リーフ 「レベル20になったよ」
ロドルバン 「早ッ!」
セリス 「よし、あとはボス倒して制圧だ」
ホーク 「ボスはこの私に任せなさい……ライトニング!」
セリス 「よし、これで……。ああ、忘れてた! アミッド、リンダ。山際のあの地点に向かえ」
アミッド 「? いいけど……」
リンダ 「山登りですぅ〜」
アミッド 「こんなところに何が……」
ジェイク 「やあ」
アミッド 「へ?」
ジェイク 「俺はシューターのジェイク。道に迷っちゃってナ。帰り道教えてくれないか?」
アミッド 「い、いいけど……」
ジェイク 「ありがとう。お礼にこれをやろう!」
アミッド 「魔除けの札……?」
ジェイク 「魔法防御が上がるぞ」
アミッド 「ど、どうも……」
リンダ 「私も言われた場所に到着しましたぁ」
ジェイク 「やあ、また道に迷ってしまってね。俺はジェイク」
リンダ 「私はリンダですのぉ」
ジェイク 「ふーん、オーラとか使わないの?」
リンダ 「それはむりですの」
ジェイク 「そうか。まあいいや。これも何かの縁だし、魔除けをあげよう」
リンダ 「もらいますの」
セリス 「よし、イベント終了。制圧だ」
アミッド 「暗黒竜やってない人には何のことかわからんイベントだったな」
リンダ 「どうせなら久しぶりにロジャーさんたちにも会いたかったですのぉ」
アミッド 「久しぶり……?」
リンダ 「傷薬に変身したリフさんは今ごろ何をしてるんでしょうかぁ」
ロドルバン 「リーフならそこにいるけどな」
フィン 「一緒にせんで下さい、アレと」
トリスタン 「似たようなものだがな」
オイフェ 「まあ、リーフ様とリフ殿の違いは
   ラナとマナぐらいの違いということですな」
フィン ………シャナンとシャナムぐらいは違いますよ!
   
  そして……
   
レヴィン 「よくやったセリス。今後はトラキアと戦うことになるな」
セリス 「軟らかい竜騎士なんて、脅威にもならないよ」
ホーク 「特にこの神の前ではね……」
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