第4章 空に舞う

 

1、寒い国にて

 シグルドの父、バイロンはクルト王子殺害の罪を着せられ
 その息子シグルドもまた、グランベル王国から終われる身となった。
 シグルドの身柄を引き取り、彼をかくまったシレジア王国の王妃ラーナの魂胆は……?
 今、雪の国に嵐が吹き荒れる!

レヴィン 「コソコソ……」
フュリー 「何をしているのですか、レヴィン王子」
レヴィン 「いや、別に……」
マーニャ 「王子、ラーナ様がお呼びです」
レヴィン 「今、居留守中なんだ。後で来てくれ」
マーニャ 「王子。いいわけは王妃の前で」
レヴィン 「ウッ! ゴホッ、ゴホッ、だめだ。仮病が悪化した! これでは母上には会えない……」
マーニャ 「分かりました。そう伝えておきましょう」
フュリー 「姉上、良いのですか?」
マーニャ 「ええ。ラーナ王妃、かくかくしかじかであります」
ラーナ  「レヴィンは篭城の構えですか。面白い……。マーニャ、あれをここに」
マーニャ 「ハッ、既に用意しております」
ラーナ  「さすがはマーニャ。フッフッフ……馬鹿息子。近づかずともここからお仕置きは可能じゃ!」
フュリー 「その魔道書は……」
ラーナ  「ブリザード!!」
レヴィン 「うおぉぉぉぉぉ!! 
遠距離攻撃かァァァァァ!!!

  今、雪の国に嵐が吹き荒れる!

シグルド 「親子の交流はすみましたか、ラーナ王妃」
ラーナ  「ええ、シグルド公子。貴方には感謝しています。あの馬鹿息子を強制連行する口実が出来たのですから」
シグルド 「いえいえ、お安い御用です」
ラーナ  「無駄とは分かっていますが、ディアドラさまの行方は当局でも捜索しています」
シグルド 「それはご苦労様。今ごろ彼女はアルヴィスと結婚式を挙げてますね」
ラーナ  「先日、そのニュースが入ってきましたよ。ディアドラ様が王家の血を引いていると知って、
        グランベルの王都バ−ハラはお祭り騒ぎですって」
シグルド 「まあ、その辺は構いませんよ。運命ですから」
マーニャ 「ラーナ様、そろそろお時間です」
ラーナ  「分かりました。では、シグルド公子。この城はこのまま使ってください。私は王城に戻ります」
シグルド 「了解しました。あと、北東・トーヴェ城のマイオス公がそろそろ王位を目当てに謀反を起こす時期ですが」
ラーナ  「分かっています。処理しておいてくださいな」
シグルド 「ええ、分かりました」
キュアン 「おう、シグルド。私たちはそろそろレンスターに帰るぞ」
シグルド 「ああ、そうだったな。お疲れ様」
エスリン 「今回はこれだけ重装備だから、リーフが強いわよ」
フィン   「世話を任されるこっちの立場も考えてくださいね……」
シグルド 「じゃ、キュアン、エスリン、あの世で会おう。フィン、セリス達をしっかり頼むぞ」
フィン   「はあ。この若い姿も見納めですね……」
オイフェ  「僕よりマシでしょ」
フィン   「ああ、オイフェ。また会おう。シャナンもな。ああ、レヴィン様も」
シャナン 「うん。またね」
レヴィン 
「俺は中身が変わってしまうけどな」

  レンスター御一行さま、退場〜
  その頃、兵士たちは……

エーディン「ミデェール。貴方が落としたのはこの鋼の弓ですか? それとも銀の弓ですか?」
ミデェール「勇者の弓です」
エーディン「まあ、せっかちね」
アゼル  「なんかレックスと同じようなことやってるねえ」
レックス  「勇者の武器を手に入れるときに必要な儀式だ」
ミデェール「ところでエーディン様、こんなものをいつの間に?」
エーディン「ラーナ様から買い取りました。あの方、勇者の武器を特許品として扱っているそうで」
レックス  「特許かよ……」
ジャムカ 「………」
アゼル  「ん? ジャムカ、どうかしたかい?」
ジャムカ 「悔しくは無いのか、お前は」
アゼル  「なんで?」
ジャムカ 「お前もエーディンに惚れてたはずだろ!」
アゼル  「別に。僕はエーディンの初めてをもらったしね」
ジャムカ 「誤解を招くような発言はよせ……」
デュー  「要するに一回目のプレイでエーディンとくっついたからもういいや、ってこと?」
アゼル  「レスターがバカみたいに弱くなるって分かってるからね」
ジャムカ 「やけにあきらめがいいじゃないか」
アゼル  「そりゃ、僕にはティルテュがいるし」
ジャムカ 「………」
アゼル  「おとなしくブリギッド様でも狙ったら?」
ジャムカ 「言い寄ろうとしたら『いいかげん、妹の代わりはウンザリ』といわれてな……」
エーディン「まだフュリーもシルヴィアもラケシスもフリーよ」
アゼル  「ん? アイラさんは?」
レックス  「ホリンのことを愛してしまったようじゃ」
アゼル  「ああ、やっぱり勇者の剣を渡し損ねたのがいけなかったね」
レックス  「………」
ジャムカ 「レックス……飲みに行こうぜ」
レックス  「ああ……」
ジャムカ 「女なんていらねえーーっ!!」
レックス  「アイラの馬鹿野郎----ッ!」

  男の友情が深まったようだ……

クロード  「いやはや、寒いですねえ」
シルヴィア 「このタイミングでそんな危険な言葉を……」
レックス  「どうせやせ我慢さ……」
ジャムカ  「……」
クロード  「おやおや、どうやら不慮の事故によって人を傷つけてしまったようですね、
まあいいや
ティルテュ 「まあいいことは無いと思う……」
アゼル   「そんなことで悩む必要は無いよ。ティルテュは元気が一番さ」
ティルテュ 「アゼルって昔からそうよね……」
クロード  「しかしその会話によってきっちり貴女のHPが上昇していますよ」
シルヴィア 「ああ、これが会話イベントって奴」
アレク   「俺と君の会話イベントもあったはずなんだがな、第2章で」
シルヴィア 「だって貴方、城から一歩も出てなかったじゃない。話しようが無いでしょ」
クロード  「まあまあ。どうせ踊り子もアレクも能力値は関係ありませんよ」
シルヴィア 「そりゃそうだけどさあ」
アレク   「そりゃそうだけどで済ませないでくれ。俺だって立派なユニットであって・・…」
クロード  「いやはや寒いですねえ」
アレク   「………」
クロード  「寒いといえば、シルヴィアさん、そんな肌もあらわな格好で寒くないですか」
シルヴィア 「寒いわよ、もちろん。でも踊り子の衣装だもん」
フュリー  「彼女は露出卿なのでこの格好でなければ落ち着かないそうです」
シルヴィア 「この格好じゃなきゃ踊りを踊っても男どもが再行動してくれないのよ」
クロード  「罪深き煩悩ですねえ」
シルヴィア 「神父様だって例外じゃないんだから」
アレク   「妹に欲情するなよな」
クロード  「はっはっは。公式設定では兄妹かどうかは『謎』ですよ」
アレク   「結構あからさまだけどなあ……」
フュリー  「文句は任天堂まで」
シグルド  「なんか盛り上がってるな」
クロード   「おや、シグルド公子」
シグルド  「みんな、近々出撃があるから、用意しておいてくれ」
クロード   「相変わらず戦いばかりですねえ」
シグルド  「で、その勢いで後にグランベルにも攻め込みますし。神父は何か文句あります?」
クロード   「昔は戦争は民衆を傷つける〜とか思いましたけどねえ。いまさら……」
オイフェ   「第5章のネタまで語らんで下さい。
        取り合えず今はトーヴェ城のマイオス公攻略に専念しましょうよ」
シグルド  「わかったわかった」

 

2、悲しい犠牲……再び

進軍を開始するシグルド軍
そのころ、噂の悪役、マイオス君は、というと……

マイオス 「レヴィンが帰ってきたか」
ディードバ「はい」
マイオス 「王位継承権はとっくに放棄したと思っていたが……おのれ! いまさらのこのこと……」
ディードバ「ご安心下さい。シレジア四天馬騎士の一人ディードバ。必ずや王子をしとめてご覧に入れましょう」
マイオス 「うむ。兵の準備はどうなっておる」
ディードバ「既にグブリ司祭を雪原の中に配置しています。まもなく進軍を開始します」
マイオス 「頼んだぞ。シレジアは我等のものだ!」

  雪原では……

グブリ   「寒い……」
部下    「敵はまだ到着しないんでしょうか?」
グブリ   「まだらしい……。このスリープの杖を早く試してみたいのに」
部下    「ためし振りは、やめて下さいよ。この吹雪の中、眠ったら死にますから」
グブリ   「うーむ。そういえばさっきからワシも眠くて……」
部下    「せ、せめて敵と戦って死にましょうよ、ね!」

  いろいろ大変なことになっていた。

シグルド 「じゃ、進軍するぞ。ああ、その前に闘技場はもちろん行っとけよ」
アイラ   「さすがに星50を超えた武器だと相手にならないな」
ホリン   「ましてそれが勇者の剣ではな……」
フュリー  「デュー、風の剣を」
デュー   「ああ、売っとくね」
フュリー  「そして私が買い取り……何故こうも面倒な手続きが必要なのか、文句は任天堂まで」
レヴィン  「一人ボケ突っ込みか?」
シグルド 「今回の留守番はアーダン一人だ。アレクもついて来い!」
アレク   「そ、それは戦力としてでしょうか、おとりとしてでしょうか」
シグルド 「考えるまでも無いだろ」
アーダン 「出撃できるだけマシさ……」
ミデェール「あ、ジャムカ王子。キラーボウは売っておきましたから、買い取ってくださいね」
ジャムカ  「………」
シグルド  「弓部隊は今回、重要だからな」
ジャムカ 「恋敵に愛用の武器を奪われ、憧れの人も奪われ、
       帰ってきたのは使い古しの武器だけか……」
ブリギッド 「哀れねえ……」
ジャムカ 
「同情なんていらん……(涙)」
シグルド 「ブリギッドにも今回は頑張ってもらうから、そのつもりで頼む」
ブリギッド 「イチイバルの命中率の低さがどうにかなればねえ…」
シグルド 「どうにでもなる。リセットでな」
オイフェ  「では、進軍シーンをカットして一気に対決シーンまで」
レヴィン  「オイフェもだんだん分かってきたな」

  と、いうわけで雪原の魔術師たちと対決

部下   「グブリ司祭! 敵が来ました! 起きてください!」
グブリ  「おお、やっと来たか。しかしなかなか近づいてこないのは何故だ?」
部下   「司祭殿のスリープの杖を怖れているものと思われます」
グブリ  「何か、着々と陣形を整えているように見えるが、我々は動けないのか」
部下   「相手がこちらの行動範囲内に入るまで、動けない仕組みです」
グブリ  「うーむ。不公平な話じゃ」
ディードバ「心配することは無い、司祭殿。奴等には決定的な弱みがある」
グブリ  「おお、ディードバ殿とペガサス部隊が到着していたか。 弱みとは一体?」
ディードバ「奴等は一兵たりとも死ぬことなく戦いに勝利することにこだわると聞く」
グブリ  「そらまた無茶な」
ディードバ「つまりその分、死を覚悟の思い切った行動をとることが出来ず……」
部下   「あのー」
ディードバ「どうした?」
部下   「なんか敵が一騎だけ突撃してくるんですけど」
ディードバ「な、なに? どういう戦術だ……?」
グブリ  「ちなみにどんな敵じゃ?」
部下   「なんか緑色の鎧で、馬に乗ってます。泣きながら突撃してます」
グブリ  「とりあえずスリープをかけておくか。眠れッ!」
アレク  
「眠ったら死ぬ……眠ったら……Zzz」
部下   「では、私たちが止めをさしに前進します」
ディードバ「う、うむ……」
部下   「かかれーッ!」
部下2  「前進ーーーッ!」
部下3  「攻撃ーーーッ!」
アレク  
「シグルド様……どうかご武運を……」
シグルド 「よし、お前にしては上出来だ。敵の陣形は乱れたぞ」
グブリ  「あぁっ!?」
部下   「し、シグルド軍が前進した術師たちを虐殺しています!!」
ディードバ「ま、まて! お前、人としてそんな戦術が許されるとでも思っているのか!」
シグルド 「戦争で人が死ぬのは当たり前だ。最も犠牲の少ない手段を取っただけだろう」
オイフェ 「で、本音は『面倒だから』なわけですね」
ディードバ「ば、バカな……シグルド軍は一人も自軍から犠牲者を出さないのがモットーでは……」
フュリー 「いつの話をしているんです?」
ディードバ「フ、フュリー?」
フュリー 「今回のシグルド様はちょっと違うようです」
シグルド 「気付くのが遅かったな」
ミデェール「さあ、行きますよペガサス部隊。勇者の弓ッ!(ひゅんひゅんっ!)」
ジャムカ 「いちいちあてつけがましく武器名を叫ぶな! どうせ俺はキラーボウだよっ!(ひゅんっ!ズガガガガ……)」
ブリギッド「いまいち信用できない聖なる武器、イチイバル!!(ぴきーん!)」
ディードバ「む、無念……」
レヴィン  「じゃ、司祭は俺が片付けておくぜ。エルウインドッ!」
グブリ   「ひぃ……」
アイラ   「敵は大方片付いたな」
シグルド 「うむ。激しい戦いだった。そして大きな犠牲を払った……」
オイフェ 
「わざとでしょ」
シグルド 「いやー、実を言うとここの攻略は苦手でな。
        スリープに魔法に、機動力のあるペガサスだろ。 
        正攻法で行くと結構面倒なんだ」
アレク霊  「おれはそれだけの理由で殺されたわけですか」  
シグルド  「ああ」
アレク霊   「………」
ノイッシュ霊 「お前もこっちに来たか」
アレク霊   「ここが大霊界か……」
ノイッシュ霊 「デューも一回来たんだが、帰ってしまってなあ……」
アレク霊   「しかし、やはり俺とノイッシュがこっちに来てるんだから、もう一人もいなきゃな……」
ノイッシュ霊 「そうだな。何だかんだ言ってトリオだからな、俺たち」
アーダン   「(城の中)ん? 悪寒? やっぱり寒いからなあ……」

  シアルフィ三騎士の一人、緑のアレク、死す!!

シグルド   「それは置いといて、シルヴィア。あそこの村を解放してくれ」
シルヴィア  「はーい。踊り見せて守りの剣をもらえばいいんでしょ?」
シグルド   「そうそう。バグらないように気をつけてくれ」
オイフェ   「またそういうあからさまなことを……」
シルヴィア  「あのバグ、ゲームが止まるのはともかく、
         私がずっと踊りっぱなしになるから疲れるんだよね〜」
オイフェ   「ちなみに守りの剣は誰が使うんです?」
シグルド   「さあ。まあ、子世代で誰かが使うだろ」

  で、マイオス公の立てこもるトーヴェ城

レヴィン  「よう、叔父さん。久しぶりだな」
マイオス  「えぇい、お前のようなガキにシレジアをくれてやってたまるか!」
レヴィン  「俺も王位は面倒だから要らないんだけどな、本当は」
シグルド  「生まれ持った義務を放棄してはならんぞ、レヴィンよ」
レヴィン  「やれやれ。どうせ結末は分かってるくせに。全く」
マイオス  「くそぉっ! とにかく」
シグルド  「制圧」
オイフェ  「戦闘シーン省略」
レヴィン  「じゃ、次の準備か。母上のシレジア城に向かうんだったな?」  

 

3、頑張れ悪い奴

シグルドがトーヴェ城を制圧する頃、
せっせと陰謀を企む男がいた。
彼の名はザクセン城のダッカー公。

ダッカー  「よし、シグルドたちは城から離れている。今のうちにシレジア城を落とせ!」
パメラ   「四天馬騎士最強の私にお任せあれ」
ダッカー  「うむ。強力な援軍も呼んであることだしな……ハッハッハ」

  シレジア城からはラーナ女王の腹心、マーニャが出陣!

パメラ   「ここで遭ったが百年目! 決着をつけるぞ、マーニャ!」
マーニャ 「それはいいけれど、なぜあなたの部隊は全員遠距離攻撃なのかしら?」
パメラ   「これが近代戦というものだ」
マーニャ 「卑怯者として歴史に名を残すわよ?」
パメラ   「下らんな!」
マーニャ 「だからあなた人気が無いのよ。
顔グラフィックも使いまわしだし
パメラ   「……! 言ってはならんことを……
       えぇい! 遊びはここまでだ!
        アンドレイ! 君に決めた!」
アンドレイ「私はポケモン扱いか?」
パメラ  「どうだマーニャ。グランベルの弓騎士部隊バイゲリッターだ!」
アンドレイ「何も貴公が誇らしげにすることはあるまいに……」
マーニャ 「自分のところでは処理できないからって他国の力を借りてるだけの癖に……」
パメラ  「やかましい! 天馬には弓! これが定石だ。行け、アンドレ!」
アンドレイ 「態度でかいぞパメラ」
マーニャ 「これで決定的ね……」
パメラ  「そうだ。おまえらの敗北は決定的だ!」
マーニャ 「いや、そうじゃなくて」
パメラ  「何?」
マーニャ 「あなたが卑怯者として七代語り継がれることが決定的」
パメラ  「私は頭を使った戦い方をしているだけだ!」
マーニャ 「そうね。でも……」
パメラ  「でも?」
マーニャ 
「あなた、悪役だから……」
パメラ  「な………」
マーニャ 
「悪役が頭を使うと卑怯者と呼ばれるのよ」
パメラ  「そ、そんな理屈……」
アンドレイ「会話中のところ、悪いが……」
マーニャ 「何かしら?」
アンドレイ「そろそろ止めをさしていいか?」
マーニャ 「どうぞ」
アンドレイ「では、遠慮なく」
マーニャ 「ぐふっ!」
パメラ   「ふ、ふん……口ほどにも無い」
アンドレイ「では、シレジア城も制圧したことだし、私は帰るぞ」
パメラ   「ん? シグルド軍と戦うところまで付き合ってくれてもいいだろう。
       奴等の中にはお前の姉もいると聞くが……」
アンドレイ「いや、帰る」
パメラ   「訳を聴こうか、アンドレイ殿」
アンドレイ
「寒いからだ」
パメラ   「あ、そう……」
アンドレイ「子育てもやらんといかんしなあ」
パメラ   「子持ちだったのかスコピオ」
アンドレイ「ああ。私にそっくりの男の子だ」
パメラ  
「そりゃ、ご愁傷様……」

  かくして去ってゆく弓騎士団バイゲリッター。

パメラ  「さて、これからの作戦を決める。各部隊長を集めろ」
レイミア 「呼んだかい、パメラ」
パメラ  「傭兵部隊『地獄のレイミア』。お前はザクソン城の守りを任せる」
レイミア 「おいおい、この私がダッカー公のお守りかい」
パメラ  「シレジア城はドノバンだ。捕えたラーナ王妃の監視を怠るな」
ドノバン 「いや、それがなあ……ちょっと今、取り込んでて……」
パメラ  「どうしたというのだ?」
ドノバン 「占領したシレジア城から民衆が逃げ出しちまってなあ」
パメラ  「チッ……。よい、捨て置け。何が出来るわけでもあるまい」
ドノバン 「いや、そうはいかねえ」
パメラ  「何?」
ドノバン 「なぜか知らんが、そいつ等を追いかけて虐殺しなきゃいけないような気がするんだ」
パメラ  「な、何を言っている。放っておけ! そんなことをしてシレジアの守りが薄くなっては……」
レイミア 「止めても無駄だよ」
パメラ  「レイミア?」
レイミア 「今のあいつは獲物を前にした狼さ」
パメラ  「ど、どういうことだ?」
レイミア 「山賊顔の奴は、逃げる相手を見ると追いかけずに入られないってことだよ」
パメラ  「犬じゃあるまいし……」
レイミア 「何も言うな。所詮、浅はかな斧使いだ」
ドノバン 「よーし、野郎ども! 民衆を追いかけて皆殺しにしろ!」
パメラ  「……」
レイミア 「じゃ、私は後方待機だったな。あんたはどうする気だい」
パメラ  「あ、ああ。トーヴェ城からシレジアに向かっているシグルド軍を強襲する。
       長距離の移動のために軍が横長に伸びきっているはずだ。
       陣形を乱された軍など烏合の衆も同じ!」
レイミア 「そうかい。ま、せいぜい頑張りな」

  こうして北に向かうパメラ。しかし……

パメラ  「どういうことだ? シグルド軍は既にシレジア周辺まで移動済みだと?」
兵士   「ま、まるでこうなることが分かっていたかのような……」
ミデェール「分かってましたから」
パメラ  「な、何だお前!」
ジャムカ 「ペガサス対策のため、俺たちだけトーヴェ城で留守番なんだよ」
ブリギッド「シグルド公子も人使いが荒い……」
レックス 「お前らはまだいいさ。弓だからって理由なんだからな。
       俺なんか『とりあえず硬いのを一人』とか言われたんだぜ?
ミデェール「まあまあ。直接攻撃が出来る人材も必要ですよ」
パメラ  「ぬう……シグルド……こうも周到な対策を……予想以上に切れる!」
ブリギッド「いや、そういうんじゃなくてな」
パメラ  「だが知略に敗れたとて、まだ戦術レベルではわからんよッ!」
ミデェール「往生際の悪い人ですねえ。ほら、勇者の弓!」
ジャムカ 「見せびらかすなっての!」
ブリギッド「こんなところでイチイバルを使うのはもったいないんだが……」
レックス 「全く、俺も市民を助けてレベルアップしたかったぜ」
パメラ  「ぐ……己、雑談を交わしながら我が部隊を打ちのめすとは……」
ミデェール「じゃ、そろそろ止め行きますか?」
ブリギッド「イチイバルじゃもったいないし、鋼の弓で(ぷすっ)」
パメラ  「む、無念……」

  

4、死神部隊の行軍

レックス達がパメラを討ち取った頃、
シグルド達はシレジア城を目前にしていた

  一方、シグルドたちは

シグルド 「よし、逃げてきた民衆を適当に助けとけ」
アゼル  「僕が助けたいなあ。レベル上げたいし」
ティルテュ「私よ私。たまにはクラスチェンジしたいし」
シグルド 「構わんぞ。どうせいまさらレベルなんて何の意味もないし」
ホリン  「まあ、今の戦力とフォルセティがあれば5章までクリア可能だからな」
オイフェ 「そりゃ、海賊を何十人も殺しましたからね」
アイラ  「シグルド公子。レックスたちから電話だ。どうやらパメラ部隊を倒したらしい」
シグルド 「そうか。じゃあ、休んどくように言っといてくれ」
レヴィン 「そういえば、パメラはフュリーの姉の敵じゃないか。
       美しく敵討ちとかやった方が良かったんじゃないか?」
フュリー 「私は勝てる戦いしかしない主義ですので」
シグルド 「伊達に四天馬騎士最弱を誇ってないな」
シルヴィア「で、次はシレジア城の攻略だっけ」
アイラ  「レヴィンの母親が捕らわれているはずだったな? 人質にでも使うつもりか?」
シグルド 「いや、そんなことは無いようだぞ。堂々と迎え撃つ構えらしい」
レヴィン 「何のために捕えたんだか」
フュリー 「残念そうですね、レヴィン王子」
レヴィン 「うまくどさくさに紛れて母上を討ち取ってみたい」
シルヴィア「壮絶な親子喧嘩ねえ」
レヴィン 「この世界の親子喧嘩、兄弟喧嘩は全て壮絶と決まってる」
アゼル  「(該当者1)」
レックス 「(該当者2)」
ジャムカ 「(該当者3)」
エーディン「(該当者4)」
ブリギッド「(該当者5)」
ティルテュ「(該当者6)」
シルヴィア「本当だ……」
クロード 「嘆かわしいですねえ」
アイラ  「で、ドノバンは殺しておいたぞ」
ティルテュ「相変わらず早い……」
シグルド 「で、制圧」
レヴィン 「じゃ、次に行くか」
シグルド 「はっはっは。とぼけるなよレヴィン。ラーナ王妃に会っていかなきゃダメだぞ。
       重要なことだからな」
オイフェ 「ゲームで使われた台詞にしては、あからさまですよね」
シグルド 「実際、重要だからな、フォルセティ入手のイベントは」
レヴィン 「っつーかなあ。アレを受け入れると俺の中にフォルセティの魂が根付いてしまってだな、
       正直俺はあんまり好きになれんのだが」
シグルド 「大丈夫だ。私は全然気にしないぞ」
レヴィン 「別にお前はいいさ……」
シグルド 「我々の未来は既に決まってるんだから、あまり深く考えるな」
ラーナ  「そんなわけで、このフォルセティの魔道書を授けましょうバカ息子」
レヴィン 「ああ、さよなら俺の自我……」
シグルド 「大丈夫だ。しばらくは」
レヴィン 「しばらくは、な……」

  そしてザクソン城へ向かうシグルド軍

シグルド 「じゃ、私が突っ切るから、後の始末を頼む」
レイミア 「来たね。この地獄のレイミア様率いる女傭兵部隊にかなうと……」
シグルド 「私の移動力についてこれない奴等が何を言う」
レイミア 「ば、バッタか? こいつッ!」
オイフェ 「レッグリングつけたロードナイトには誰も追いつけませんよ」
レイミア 「くっ、クソッ! 苔にしてくれたねえッ!」
レヴィン 「じゃ、フォルセティ」
アイラ  「流星剣」
ホリン  「月光剣」
レイミア 「な、何だこいつらは……」
アゼル  「ふふん、うちの最強部隊とまともに戦って勝てるわけないよ」
ティルテュ「なんで何もやってないアゼルがそんなに偉そうなの?」
シルヴィア「私みたいに踊るぐらいしてみたら?」
アゼル  「やだなあ。僕が踊っても再行動できるのは特殊な趣味のお姉様方だけだよ」
レイミア 「こ、この私が……」
アイラ  「あとはダッカー公だけだな」
ホリン  「任せたぞ、レヴィン」
レヴィン 「じゃ、フォルセティ」
ダッカー 「ぐふっ」
シグルド 「じゃ、制圧」

  こうしてシレジアの内乱は幕を閉じた……

シグルド 「さて、そろそろグランベルに乗り込むか」
オイフェ 「100%反乱軍ですね」
シグルド 「私たちの戦いも次で最後だ」

  第4章、終了

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