第10章 光と闇と

 

1、ドルパドールの憂鬱

トラキアを制圧し、ミレトス地方に進軍したセリスたち。
ロプト教団による子供狩りが行われるこの地方において
彼等の新たな戦いが半年ぶりにようやく始まった。

セリス 「さーて、久しぶりに軍の指揮を取るか」
レヴィン 「ずぼらな管理人の所為で約半年の休暇が取れたことだしな」
マナ 「ところで、セリス様。ユリアの姿が見えないんですけど……」
セリス 「ああ、もうさらわれたのか」
マナ 「えっ?」
セリス 「どうせ育ててなかったし、いいよ。別に」
アミッド 「そうそう。魔法に関しては俺が居れば十分」
ホーク 「いまさらイタコの手など借りる必要もあるまい。この私がいるのだから」
マナ 「は、はあ……」
セリス 「じゃ、みんな闘技場にはもう行ったな? クラスチェンジ具合はどうなんだ?」
マナ




「トラキアまでの戦いと今回の闘技場で
 主力メンバーは大体クラスチェンジが済みました。
 ロドルバン、ラドネイ、トリスタン、ディムナ兄さん、
 アサエロさん、アミッドさん、ホークさん、フェミナさん
 それにリーフ様、アレス様、もちろんセリス様もクラスチェンジ済みですね。」
セリス 「あとは戦闘に出さないような奴ばっかりか。ま、こんなもんかな」
ロドルバン 「しかしマナもかなりレベルが上がってるよな?」
マナ 「そういえば、前の戦いでワープを連発したから……」
セリス

「ふうん、ラナだってクラスチェンジさせたこと無いのに、
 マナは上手くすればクラスチェンジできるかもね」
リンダ 「私もクラスチェンジしたいですぅ」
セリス 「レベル一桁の癖に何、寝言ほざいてんだ」
リンダ 「でもぉ、このマップでは子供たちを助けるとレベルアップできますぅ」
アミッド 「リンダは前線に出る必要なんて無いよ」
リンダ 「でもぉ……」
トリスタン 「そういえばアリオーンから奪い取った祈りの腕輪はどうするつもりなのだ?」
セリス 「ン? 別にいまさら祈りなんて……」
リンダ 「ほしいですぅ」
ロドルバン 「確かに、怒りと祈りなら、相性いいんじゃないか?」
セリス 「本体の性能がなあ……。まあ、一応買っといて」
リンダ 「はぁーい」
セリス 「……で、出撃だけど、敵は?」
フェミナ 「最初の相手はクロノス城のヒルダだけど、そこまでに暗黒魔術師がたくさん居るよ」
ディムナ 「遠隔攻撃か……いやな相手だなあ」
セリス 「魔法か……。アレス!」
アレス 「気安く呼ぶな親の仇」
セリス
「そんなことはどうでもいいから、ミストルティンもって出撃しろ。
 あとは僕がバリアリングを持って……。ペガサスの魔法防御は?」
フェミナ 「もうファルコンなんだけど……。えっと、13」
セリス 「ひくいな……。所詮庶民の成長率か」
フェミナ 「なによ、ろくにリセットもしてくれないくせに!」
セリス 「庶民ごときのためにそんな面倒なことができるか!」
アミッド 「で、どうするんだ?」
セリス
「ああ、もう面倒だな。移動力と攻撃力の高い奴は全部出ろ。
 倒してしまえば攻撃は喰らわないんだ」
レヴィン 「半年経っても戦術は変わらんな」
オイフェ 「そりゃ、親子代々受け継がれてますからな」
   
  そして……
   
セリス 「よし、暗黒魔術師退治完了」
魔術師 「た、戦いの様子は……?」
セリス 「省いたよ」
オイフェ 「見事に受け継がれていますな」
   
  一方クロノス城のヒルダ……
   
ヒルダ


「えぇい癪だねえ。
 奴の所為で夫も息子も殺されて……
 イシュタル! 出撃して奴等をお倒し!」
兵士 「……イシュタル様はユリウス様とデートに行きましたが」
ヒルダ 「………」
   
  そして、グランベルの騎士リデールは……
   
リデール

「子供狩りなど誇り高き軍人の仕事ではない。急ぐまでもあるまい。
 全軍、ゆるりと行軍せよ……」
セリス

「ゆるりといくのはいいけどさ、
 ちょうどヒルダ攻略の邪魔になるタイミングで辿り着くのはやめてくれる?」
リデール 「いや、やめてくれる?といわれても」
アミッド 「そうだ。俺が因縁の対決を終えるまで動くな!」
セリス 「ヒルダの武器は?」
マナ 「ボルガノンです」
セリス 「で、アミッドとの相性は?」
マナ 「えっと、風と炎なのでアミッドが不利です」
セリス 「わかったろ庶民。お前がボスクラスと戦おうなんて不可能なんだよ」
アミッド 「そんなことはない! この必殺エルウインドで……」
セリス 「行け、リーフ」
リーフ 「連続・必殺。あーめんどい」
ヒルダ 「クソッ! 撤退だ!」
アミッド 「あ……」
セリス

「よーしリーフ、よくやった。あとはリデールの相手と子供を助けてレベルアップか。
 とりあえず先にリデールだ。ロドルバン、ラドネイ、いけ!」
ロドルバン 「って言っても突撃すると戻ってこれないから、敵のターンの攻撃で死んじゃうぜ」
セリス 「避けろ」
ロドルバン 「いや、ちょっと無理……」
セリス 「お前クラスチェンジしたよな?」
ロドルバン 「あ、ああ」
セリス 「★50以上の武器持ってるよな?」
ロドルバン 「持ってるけど……」
セリス


「それでここまで使えないなんて……。
 剣士ってのはそこらへんに置いておくだけで
 敵を一掃してくれるやつらのことじゃなかったのか……」
トリスタン 「やはり歩兵は扱いづらいな。その点、私はヒット&アウェイで安全に戦える」
ディムナ 「その上間接攻撃なら更に安全」
セリス

「やれやれ……いつもなら豊富なスキルと高い能力値で歩兵のほうがむしろ強いのに。
 庶民の相手は本当に疲れるよ。おーい、シャナン!」
シャナン 「……またか?」
セリス 「ああ。的になってくれ」
シャナン 「はあ……」
セリス 「ん? シャナンは少し疲れてるようだ」
シャナン

「当たり前だ! これまでどれだけ酷使されてると思ってるんだ!
 しかも面倒な局面でばかり私を使って、普段は冷遇しやがって」
セリス

「ま、バルムンクに流星剣を持ってるキャラの宿命だよ。
 もっとも、実力ならシャナンなんて僕の足元にも及ばないけどね」
シャナン 「お前な……。いや、何も言うまい」
ロドルバン 「じゃ、俺たちはシャナン様がおびき寄せた敵を倒すか」
ラドネイ 「おいしいところは持っていく!」
シャナン 「ハイエナ兄妹め……」
リデール 「では、そろそろ攻撃させてもらうぞ」
ロドルバン 「おわ、隊長が来たぞ!」
リデール 「久しぶりにまともな戦いが……」
トリスタン 「できると思うか? 私たち相手に」
リデール 「この勇者の剣を見てもその台詞が言えるかな?」
トリスタン 「フッ、所詮ただの2回攻撃。★100の勇者の剣の敵ではない!」
リデール 「甘い! 私は必殺や追撃のスキルも完備した高性能ユニット!」
トリスタン 「一撃で倒してしまえばそんなことは関係ない。喰らえ、必殺×2!」
リデール 「な……まだ攻撃すらしてないのに」
ディムナ 「まあ、まともな戦いが出来た敵キャラなんて数えるほどしかいないよね」
ロドルバン 「たいてい間接攻撃で削られるか、必殺で一撃死だもんな」
リデール 「これも天命か……」
ホーク 「せめて生まれ変わった時はPCになれるよう、私に祈るがいい」
セリス
 
「よし、あとはザコだけだな。適当に掃討しておけ。
 ただし、あそこの2体のドルパトールは生かしておけよ」
ドルパ 「え?」
マナ 「非戦闘員は殺さないなんて、セリス様、何てご立派な」
セリス 「バカぬかすな。お互い回復する性質を利用した経験値稼ぎに決まってるだろ」
マナ 「……」
セリス 「リンダ、そいつらとしばらく遊んでろ」
リンダ 「はーい、エルサンダー!」
ドルパ1 「きゃあ〜〜〜〜」
ドルパ2 「たいへん、回復よ!」
ドルパ1 「助かったわ」
リンダ 「エルサンダー!」
ドルパ1 「きゃあ〜〜〜〜」
ドルパ2 「たいへん、回復よ!」
ドルパ1 「助かったわ」
リンダ 「エルサンダー!」
ドルパ1 「きゃあ〜〜〜〜」
ドルパ2 「たいへん、回復よ!」
ドルパ1 「……あなた楽してない?」
ドルパ2 「………」
   
  そして……
   
リンダ 「レベル16になりましたぁ」
アミッド 「さすがエリートだ。俺の妹だけの事はある」
フェミナ 「でもアミッドはエリートじゃないんだよね」
セリス 「庶民の癖にエリートなんて生意気だけど、まあ便利だから許してやるよ」
アミッド 「だから俺たちはフリージ……」
シャルロー 「ハンッ、本当のエリートは努力なんかせずに後ろで高みの見物なんだよ」
レイリア 「窓際族とも言うけどね。その天、カリスマ持ちの私は忙しくて大変だわ」
シャルロー 「そのカリスマ、役に立ったためしがねえ癖に」
セリス
 
「踊り子を前線に出せる機会なんてほとんど無いからな。
 結局ボスと戦うときに利用するぐらいか。その辺が庶民の限界だな」
アレス 「レイリアをコケにすると俺が許さんぞ!」
セリス 「ミストルティンだけがとりえの君に、何が出来るっていうんだい?」
アレス 「貴様愚弄するか!」
オイフェ 「ああ、アグストリアとの外交関係が悪化していく……」
リンダ 「ところでー、私はこの後どうすればいいんですかぁ?」
セリス
 
「ああ、レベル16なら、あとは子供を助ければレベル20になるな。
 とりあえずドルパドールいじめは終了していいぞ」
ドルパ 「や、やっと終わった……」
リンダ 「この人たちはどうするんですかぁ?」
セリス 「殺れ」
ドルパ 「ひ、非道い……」
セリス 「ああ、そうそう。デイジー、殺す前に金を奪っておくのを忘れるな」
デイジー 「どうせ私のお金にならないのよね〜、これ」
   
  こうして、尊い犠牲の元に主力メンバーが一人増えたのだった。
   
セリス 「それと、マナも子供助けとけよ。一応クラスチェンジさせるから」
マナ 「は、はい!」
ディムナ 「なんか、正義の味方なのか悪の組織なのかよくわからない軍団になってきたなあ」
トリスタン 「指揮をとるのがセリスだからな。元からわかっていたことだ」
アレス
 
「子供を助ける英雄と見せかけて、裏では非戦闘員を拷問とは、
 やはりセリス、許せん男!」
セリス
 
「じゃ、僕はラドス城を制圧に行くから、お前等はミレトスの城門に向かえ。
 ああ、それからリンダはスキルリングを買っとけ」
リンダ 「はぁ〜い」
セリス
 
「ペガサスは山から侵入できるギリギリのところに待機して、
 城門が開いたら速攻で魔術師を倒せるように用意しとけよ」
フェミナ 「でも一人で大丈夫かな……反撃されたらしにそうだし……」
フィン 「アルテナ様さえ居れば……」
セリス 「死んだもんは仕方ないだろ」
ロドルバン 「でも、飛行ユニットが少ないのはちょっと苦しいかもな」
モリガン 「おい、こっちを倒す前からミレトスの作戦会議は止めろ」
セリス
 
「うるさいな。
 いまどきサッキュバスでもないのにモリガンなんて名乗ってる奴に用は無いよ」
ラドネイ 「それはそれで古いが」
マナ 「じゃあ、戦闘シーンは省略ということで」
ディムナ 「吹っ切れてきたな、お前も」

 

2、二人の皇子

暗黒司祭の陣取るミレトスへと行軍を開始したセリスたち。
そしてそこには最も恐るべき、あの男も居るのだった……

ユリウス 「全く、ヒルダたちも情けないな。所詮ヴェルトマーの血筋なんてこんなもんか」
マンフロイ 「しかしユリウス様さえいれば怖れるものなどございません」
イシュタル 「ユリウス様、セリス軍がこの城に迫っています」
ユリウス 「わかってるよ。じゃ、戯れに私も出撃してみるか」
アルヴィス 「まあ待て」
ユリウス 「何だよ親父」
アルヴィス
 
「登場するなりいきなり親父呼ばわりはなかろう。
 私だって突然老け顔なってショックだというのに」
ユリウス 「愚痴言うために登場したのかよ。年よりは嫌だね〜」
アルヴィス 「どうせ子供狩りの被害者をどうこうしろといっても無駄だからな」
マンフロイ 「なかなか りかいがはやい」
アルヴィス
 
「ま、今回は相手が弱いからお前達も少しは頑張れるといいな。
 じゃあ、私はシアルフィに帰るぞ」
ユリウス 「本当に愚痴だけ言うために登場しやがったな」
イシュタル 「あの、ユリウス様、セリス軍が……」
ユリウス 「ああ、わかったよ」
マンフロイ 「セリスは我々に災いをもたらします。必ず息の根を止めなければ……」
ユリウス 「別に、ただの未成年軍団だろ? 選挙権もない年のやつらなんてほっとけよ」
イシュタル 「ユリウス様、墓穴掘ってます」
マンフロイ 「暗黒司祭軍団は全力でこの地を守ります」
ユリウス 「あっそ。じゃ、イシュタル、私たちも出撃しておくか」
マンフロイ 「では、私はバーハラに帰りますので後を宜しく」
ユリウス 「おい」
マンフロイ 「何か?」
ユリウス 「全力で守るんじゃなかったのか?」
マンフロイ 「その辺はシナリオの都合で仕方がありませんな」
フュリー霊 「文句は任天堂まで」
ユリウス 「ン? 何か聞こえたか」
イシュタル 「いえ、全然」
   
  こうしてミレトス城のまわりには暗黒司祭の軍団が配置された。
   
セリス 「よし、ペガサス行け!」
フェミナ 「だ、だから無理だって。絶対、敵のターンで殺されるよ」
セリス 「庶民め……」
フィン 「アルテナ様さえ居れば……」
セリス 「しつこいぞ。よし、フィンを囮にして突撃する」
フィン 「鬼ですかアンタは」
セリス 「マナ、リブローの用意はいいな。あとレストも」
マナ 「一応、シャルローと分担してなんとか……」
セリス 「じゃ、戦力の方は……」
ホーク 「フッ、暗黒魔術師如き、このホークのライトニングで葬ってしんぜよう」
アミッド 「光の剣を装備した俺も忘れるなよ」
セリス 「もう少し足が速ければね」
トリスタン 「フッ。私の出番のようだな」
セリス 「魔法防御が高ければね」
フェミナ 「ボクは……」
セリス 「期待してない。所詮庶民の力はその程度か」
ラドネイ 「無いものねだりをしても仕方在るまい」
セリス 「やれやれ。じゃあとりあえず突撃して、後のことはリセットしながら考えるぞ」
シャナン 「潔いまでの無策だな」
レヴィン 「あのシグルドの息子だからな。何人か死んでもリセットしない可能性があるぞ」
オイフェ 「特に今回、遠距離攻撃のやかましい暗黒魔術師相手ですからね」
ロドルバン 「……」
ラドネイ 「………」
ディムナ 「…………」
   
  冷や汗を掻きながらもセリス軍は進軍。なんとかミレトス領内に橋頭堡を築く。
   
シャナン 「相変わらずこき使われたな……」
アレス 「俺など眠っている間に死にかけた」
トリスタン 「陰謀です」
アレス 「そうか?」
トリスタン 「戦死と見せかけてアグストリア王を殺そうというセリスの陰謀です」
シャナン 「そう言えば私も何度も死にかけてるな」
アレス 「確かに無茶な使われ方をしているのは俺、シャナン、リーフ……全て他国の王位継承者」
フィン 「アルテナ様なんか既に殺されました」
ジャンヌ 「そ、それは兄……」
アレス 「おのれセリス! 俺たちが必死で戦っている隙にそんな陰謀を!」
アサエロ 「別に貴族なんぞ何人死のうが構わん」
レイリア 「はいはい、わかったからさっさと再移動しなさい」
アレス 「この怒りを何処にぶつければ……」
レイリア 「そこの暗黒司祭にぶつけなさい」
アレス 「必殺ミストルティン!」
暗黒司祭 「ひでえ……」
トリスタン 「見事なまでにアレスを操っているな……」
レイリア 「あなたに言われたくないわ」
セリス 「さて、だいたい片付いたか?」
マナ 「いいえ、まだ城の周辺の敵が残ってます」
ロドルバン 「強そうなのが二人ほど居るな」
   
  ミレトスサイドでは……
   
ユリウス 「全く、暗黒魔術師も情けないな」
イシュタル 「ところで、まだ進軍しないでいいのでしょうか?」
ユリウス 「別にいいだろ。相手が近くにきてからで」
イシュタル 「はあ……」
   
  でもって
   
セリス 「あの二人のどっちかを倒さないといけないんだよな。さあどうしようか」
マナ 「攻撃範囲内に入ったら動いてくるんでしょうけど、それに耐えられるかどうか……」
ロドルバン 「しかも反撃で倒しちゃわないと、もう一人も攻撃してくるんじゃないか?」
ラドネイ 「いっそこちらから攻め入って一気に倒すとか……」
トリスタン
 
「しかしあの二人はレッグリング装備だからな。
 あの射程を一気につめられるほどの移動力があるユニットは……」
フェミナ 「ボクが崖を越えればなんとか……」
セリス
 
「問題は倒せるかどうかだろ。
 勇者の槍の2回攻撃だけじゃ倒せないんじゃないか?」
フェミナ 「うーん……」
シャナン 「相手が間接攻撃だから、今回ばかりは私をこき使おうとしても無駄だぞ」
セリス 「全く、フォルセティが使えればこんな苦労はしないのに」
レヴィン 「文句は自分の父親に言え」
セリス 「そうするよ。」
マナ 「と、とにかく現状をなんとかしないと……」
セリス 「よし、ヨハンを呼べ」
ラドネイ 「は?」
ヨハン 「ああ、ついに私の力を示す時が来たのだね」
セリス 「どうしても駄目な場合はヨハンに死んでもらって帰ってもらうから」
ラドネイ 「こ、この男は……」
セリス 「どうせこいつが死んでもドズルが滅びるだけだし、そんなもの僕が吸収合併してやるよ」
トリスタン 「アレス王、これがセリスのやり方です」
アレス 「ゆ、許せん……セリスめ……!」
ラドネイ
 
「いや、待てよ……ヨハンが死ねば私とヨハンの恋愛ポイントも関係なくなる。
 ……と、いうことは私がシャナン皇子を狙うことも不可能ではなくなるということに……」
デイジー 「無駄な努力やめたら? あたしとシャナン様はもうステディな関係なのよ」
ラドネイ 「ならデイジーにも死んでもらおうか」
ディムナ 「女って怖いよね……」
ロドルバン 「全くだ」
マナ 「あ、あのう、本当に彼を犠牲にするんでしょうか?」
セリス 「まあ、どうしても無理なら……」
ホーク 「フッ、どうやらここは私の出番のようだな……」
フェミナ 「え?」
ホーク 「聖戦士やらも所詮、このホークの前ではザコに過ぎんことはアルテナの一件で証明済み」
フィン ヒトゴロシー
ホーク 「フッ……光の魔法の前ではトールハンマーの威力も霞む」
アミッド 「だったら光の剣でだな……」
フェミナ 「やるの?」
アミッド 「やらない」
ホーク 「フッ、君の基本能力ではこれほどの大役は無理なのだよ」
セリス 「じゃ、ホークをそこに置いといて……僕の指揮官能力とレイリアのカリスマも使っておくか」
マナ 「準備万端ですね」
セリス 「ターンエンド」
ロドルバン 「あ、来た来た。凄い距離を走ってきた」
イシュタル 「トォーッル・ハンマァーッ!!」
ホーク 「回避。そして連続!追撃!」
ロドルバン 「相変わらず庶民離れした奴だな……」
ホーク 「フッ、聖戦士キラーと呼びたまえ」
イシュタル 「こ、こんなバカな……」
ユリウス 「本当に使えねえ奴だな」
セリス
 
「ま、ここにラクチェかスカサハが居たら、
 10連続必殺流星剣で切り刻まれてたのは君の方だけどね」
ユリウス 「フン……帰るぞイシュタル」
セリス 「おお、帰れ帰れ。じゃ、城を制圧するか」
ザガム 「フフフ……己の不幸を呪うのだな」
セリス 「だれキミ」
ザガム 「いや、この城を守ってる暗黒司祭なんですけどね」
セリス 「そんな奴いたっけ?」
ディムナ
 
「あの二人の存在感の所為で、
 ここにボスが居ることなんてすっかり忘れてたね、そういえば」
シャルロー 「しかもさっきから同じような顔のやつばっかりだしな」
ディムナ 「同じ使いまわしの顔でも、リデールたち「パピヨン顔」はもう少し個性あるのにね」
ザガム 「生まれ持った顔は選べないもの……」
トリスタン 「己の不幸を呪うのだな」
セリス 「はい、制圧」

 

3、宿命の邂逅

ついにシアルフィまで軍を進めたセリス軍。
皇帝アルヴィスの首はもうすぐだ?

アルヴィス 「ああ、ようやく出番か。しかしなあ、よく考えたら倒されるだけの出番か。寂しいものよ」
ユリア 「私なんてラスボスを倒すだけの出番だもの……」
アルヴィス 「それは十分な出番だと思うが」
マンフロイ 「フフフ……さあ、ユリア様には私と共にきてもらいましょうか」
アルヴィス 「ああ、気をつけてな。そうそう、サークレット渡しておくから。ナーガはむやみに使うなよ」
ユリア 「クスクス……それはセリス様次第」
アルヴィス 「あんまりユリウスをいじめるなよ」
マンフロイ 「では、我々はこれで失礼……」
部下 「アルヴィス様、セリス軍がミレトスを突破しました」
アルヴィス
 
「ああ、わかってる。やれやれ……相手が庶民だから少しは楽ができると思ったが
 よく考えたらティルフィングで斬られる運命は何も変わらんではないか」
パルマーク 「まあまあ、そう悲観なさらずに」
アルヴィス 「いっそこのティルフィング、このまま城の中に隠してしまえば……」
パルマーク 「オヤオヤ、いけませんな、シナリオに逆らう行為は」
アルヴィス 「どうせ逆らえん定めだ。言ってみただけだよ。じゃあ、これをセリスに渡してくれ」
パルマーク 「かしこまりました。これが無いと私の出番がありませんからなあ」
アルヴィス 「全く、元々脇役の癖に……」
   
  で、セリス軍はといえば
   
オイフェ 「ここを越えればシアルフィですか。懐かしいですなあ」
フィン 「あの城から全部始まったんですねえ」
セリス 「私は行ったことも無いけどね」
オイフェ
 
「シアルフィにはたくさんの思い出があります。シグルド様やエスリン様のこと、
それにノイッシュやアレクなど若い騎士達ともよく遊びました」
アーダン霊 「俺は若くないって?」
セリス 「ん? いま何か聞こえたか?」
オイフェ 「いえ、全然」
セリス
「それにしてもミレトス海峡を越えればグランベルか。
 救世主であり皇位継承者である僕は神のように崇められるわけだね」
オイフェ 「人々が皇子を聖戦士としてたたえるなら、皇子はその期待に……」
セリス 「わかってるよ。要するに僕が支配してあげればいいんだろ」
オイフェ 「………」
シャナン 「いまさら無駄だ、オイフェ」
オイフェ 「わかってますけどね……」
セリス 「じゃ、進軍するか。マナ、敵の状況は?」
マナ
 
「ミレトス海峡の向こうに敵の大軍が待ち受けています。
 おそらく橋を渡ったところで一網打尽にする作戦だと思います」
セリス 「成る程……よしリンダ!」
リンダ 「はぁい」
セリス 「初仕事だ。橋の向こうに立ってろ」
リンダ 「はぁ〜い」
アミッド 「セリス! リンダを囮にする気か!」
セリス 「悪いか?」
アミッド 「当たり前だぁッ!」
セリス 「まあ見てろ」
リンダ 「あれぇ? たくさん敵が居ますぅ」
アミッド 「ああ、リンダァーー−−!!」
敵兵士 「とりゃ! グサッ!」
リンダ 「血、血がいっぱい……」
トリスタン 「ほう、見事にHPが一桁になったな」
フィン 「ああ、見慣れた光景が……」
アミッド 「リンダが〜〜 リンダが〜〜〜!!」
敵兵士 「とりゃーー!」
リンダ 「神様〜〜〜〜〜!!」
ロドルバン 「おお、祈っとる祈っとる」
リンダ 「よくもやりましたねぇっ! ぶっ殺しますのぉっ!!」
ラドネイ 「おお、怒っとる怒っとる」
トリスタン 「祈り+怒り。素晴らしいコンボだな」
ディムナ 「一種、異様な光景が繰り広げられてるけどね」
セリス
 
「魔力はそこそこあるし、トローンの威力もあって怒りならほぼ一撃で倒せる。
 そして命中力はスキルリングで補う。さっきまで2軍だったユニットとは思えないね」
トリスタン 「さすが私の恋人だ」
リンダ 「だ〜りんに誉めてもらいましたの〜。嬉しいですの〜」
アミッド 「恋人……成立してたのか……」
フェミナ 「占いの時からいずれこうなることはわかってたでしょ。泣かない泣かない」
アミッド 「な、泣くもんか……」
   
  1ターン後
   
帝国兵士 「アルヴィス様、前線部隊が全滅しました」
アルヴィス
 
「庶民相手でもこれか……。どうも、楽観しすぎていただな。
 というか帝国の兵士は弱すぎんか?」
帝国兵士 「と、言われましても……」
アルヴィス 「まあ、遅かれ早かれ負ける運命だからな、気にするな」
帝国兵士 「はあ……」
   
  そんでもって
   
セリス 「おいペガサス、パルマーク司祭の護衛は大丈夫か?」
フェミナ 「ちょっと苦しいよ、やっぱり一人じゃ……」
フィン 「アルテナ様を殺すから……」
セリス 「うるさいな。すんだことをねちねちと……。とにかく、僕が行くまでは持ちこたえろ」
フェミナ 「きつい〜〜〜〜」
パルマーク 「まあいざとなれば私が回復しますから」
フェミナ 「嬉しいけどNPCの癖にいきなり近寄ってくるからビックリしたよ」
パルマーク 「一瞬攻撃されたのかと思った……という話はよく聞きますねえ」
セリス 「よし、間に合った。さ、ティルフィングよこせ」
パルマーク 「この剣はさるお方から預かった……」
セリス 「なんでもいいからよこせ。それがあれば僕が大幅にパワーアップするんだから」
パルマーク 「しかし数少ない出番を……」
セリス 「だまれ脇役」
パルマーク
 
「しかし、親の敵と狙っているアルヴィス皇帝その人がこの剣を
 届けさせたということを皇子は知らないまま…という感動の場面を」
セリス 「感動っつっても5回目だろ?」
パルマーク
 
「しかしですなあ。アルヴィスが倒れたのはお前の力ではない……とか
 人の悲しみを知れ、とかのシグルド様の台詞の重さがこのシーンに凝縮されて」
セリス 「別にいいよ。そんなことよりもティルフィングの能力値ボーナスの方が大事だし」
パルマーク 「はあ、そうですか」
セリス 「そうだよ。さあティルフィングを装備だ!」
フェミナ 「あ、なんか光ってる」
セリス 「さすが父上。ちゃんと50まで修理してあるね」
レヴィン 「親ばかの極みだからな」
セリス 「じゃ、アルヴィス、待たせたね」
アルヴィス 「たまにはティルフィングなしで攻略とか、そういう趣向は無いのか?」
セリス 「無い」
アルヴィス 「ユリウスもナーガで簡単に倒すつもりか。つまらん奴め」
セリス
 
「ティルフィングやナーガじゃないと倒せないように
 ステータスに修正を受けてるあんたやユリウスに言われたくないね」
アルヴィス 「ああ、せめてリカバーリングでもあれば……」
セリス 「後は地獄でやってくれ。じゃ、死ね」
アルヴィス 「ディアドラ……ユリア……」
セリス 「さて、ライブの腕輪をもらいに行くか」
オイフェ 「せめてシグルド様たちに会いに行く、と言えませんか?」
セリス 「もう5度目だから」
オイフェ 「はあ……」
セリス 「と、いうわけで母上、父上、アルヴィス倒したよ」
シグルド 「ハッハッハ、よくやったな息子よ」
ディアドラ 「はあ……鬱」
シグルド 「どうしたディアドラ。まだ鬱なのか。」
ディアドラ 「だって結局ユリウスも死ぬ運命だもの」
シグルド 「心配するな。私も死んでる」
オイフェ 「どういう慰めですか、それは」
セリス 「ま、僕が最終的な勝者になる運命さえ決まってればそれでいいのさ」
シグルド 「うむ。そのとおりだ」
シャナン 「親ばかっぷりがエスカレートしてるな」
シグルド
 
「もちろん、久しぶりだからな。たまってたぞ。
 そうそう、シャナン、セリスを差し置いて目立つってないだろうな」
シャナン 「セリスに都合よくこき使われてるよ」
シグルド 「そうか、それは何よりだ」
セリス 「ところで父上さあ、聞きたいことがあるんだけど」
シグルド 「なんだ? この父に何でも聞け」
セリス 「今回の面子はどういうわけさ。庶民ばっかりで」
シグルド 「いやー、新鮮だっただろう」
レヴィン 「過去形にするな過去形に」
セリス 「剣士は光らないしペガサスは追撃できないし、神器の一つも受け継いでないし……」
シグルド 「そのかわり神器よりも役立つ★50武器を残してやっただろう」
セリス 「それにしたって思いつきでこんなことされちゃ、こっちは迷惑なんだよね」
シグルド
 
「ハッハッハ。これは参ったな。
 まあ、庶民でもとりあえず闘えることがわかってよかったじゃないか」
セリス 「庶民の弱さばっかりわかる気がするけどね」
ディアドラ 「そろそろ時間……」
シグルド 「そうか、じゃあセリス、残り1章頑張れよ。ライブの腕輪をやろう」
セリス 「せめてもう少しいいものくれてもいいんじゃない?」
シグルド 「無茶を言うな。これも運命だ」
セリス 「やれやれ……面倒なイベントの割に収穫少ないよな」
オイフェ 「………」
セリス 「じゃ、シアルフィ制圧!」
レヴィン 「セリス、よくやった。大勢の民がお前の勝利を祝って駆けつけたぞ」
セリス 「当然だね。誰が本当の支配者なのか、ようやく気付いたらしい」
レヴィン 「……と、ところでユリアはここにも居ないようだな」
セリス 「ああ、どうせ最後には出てくるんだから関係ないね」
レヴィン 「セリスはユリアが好きなのか?」
マナ 「………」
レヴィン 「すまん、悪かった」
セリス
 
「ゲーム内で使われた台詞の癖に妙にちぐはぐなんだよね、これ。
 せめて恋人が居ない時限定の台詞にすればよかったのに」
レヴィン 「まあ、とにかくだな。まだ戦いは終わっていないぞ」
セリス 「ああ、グランベル内の僕に反抗する勢力を叩きのめして、
 僕が真の支配者であることを示さないとね」

 

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