オリジナルGM
(スナイパー風)


- サイド3宙域 -

 スナイパータイプが速度を上げた。既に最大速度である。
 操縦棹を最大に押し倒してもなお、敵影は遠ざかっていく。圧倒的なスピードだった。
「クソッ!」
 コックピットが激しく揺れる。振動でモニターの画像がぶれる。二重、三重に重なった敵のシルエットが果てしなく遠かった。
「……!」
 唐突に、イメージが浮かぶ。敵のターゲット!
「ブルーホースか!」
 それは彼らの母艦。
 ノーマルスーツの中で汗だくになった手が必死で目標の位置を打ち込み、ライフルを構える。だがこの機体でさえ、狙える距離ではない!
「聞こえるか、ブルーホース! 狙っているぞ!」
 通信は滝のような雑音にかき消される。ジャミング! 通信機を投げ捨てる!
「届け!」
 ドゥンッ! ビームを放つ。よける気配すら見せずに、敵は直進を続けた。宇宙の中に、ビーム光がむなしく吸い込まれる。
「届け!」 
 立て続けに二射。敵機のはるか右をすり抜けていく。
 ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ! 三連射。敵機が向かう先の宇宙に、ビームが消えていく。
 その宇宙の向こうに、母艦がある。
「届けよ…ブルーホース!」
 ギルダーがつぶやく。

 光が走る。続けざまに2発、3発・・・ブルーホースのはるか横を、全く同じ軌跡のビームが何度も通り過ぎていくのを見て、ブルース艦長は不審に思った。
 「何だ…?」
 狙った攻撃ではない。流れ弾にしては、意図が感じられる・・・
 瞬間、合点がいった。
「滞空監視!! 主砲も向けろ!」
 ブルーホースがあわただしく砲塔をまわす。正面の敵は後回しとなれば、これは一つの賭けだ。
「信じるぞ、ニュータイプ…!」
 おそらくはるか頭上に居るであろう小隊長に、ブルース艦長はつぶやいた。
 やがて策的班が敵機の接近を告げた。
 上方からの襲撃…主砲が唸り声を上げた。
 




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