あるいは、とっさの回避運動であったか。狙いがそれたのか。 ビーム光はザクの後ろの壁に当たり、爆発を起こした。光と炎がザクの姿を紅く映し出す。 「ッ! 何故!」 当たらない……! だが、命中を見極めようとザクの挙動を注視していた彼の目は、奇妙なものを捉えた。 ザクが奇妙に首を振り、マシンガンの装弾すら忘れたようにその場に静止している。動作が遅い。戦闘中に空白が挿入されたかのように、ザクの動きが鈍った。 「何だ…?」 銃口を向ける。ザクが、一瞬で飛びのいた。 ザクが、怯えている。 GMの放つビーム光を至近距離に目撃し、浮き足立っているのだ。恐怖の象徴であったザクが、怯えている。