トバル2特集


 トバル2。それは不遇の名作。
 スクウェア(現スクウェアエニックス。開発はドリームファクトリー)が発売した、初の3D格闘ゲーム、
 トバルNo.1の続編である。

 今回は一部ファン(管理人含む)の間で名作と絶賛されながらも
 未だに続編は愚か、後継作と呼べるゲームすら存在しないトバル2について語ってみようと思う。


0.イメージって大事よね、の巻

 誰の陰謀だか知らないが、トバルのイメージは悪いらしい。
 いや、もう悪いなんてモンじゃなく、まともなゲーム扱いされていない。

 その証拠を見たければ近くのゲームショップに行くといい。
 
180円で投げ売りされてる名作の姿が全てを物語っている。
 
 一体何故?

 確かにトバル2は古い。もう10年も前のゲームだ。

 でも、古いのが理由なら
 
5800円という値札をぶらさげ、堂々とゲームコーナーに君臨してるたけしの挑戦状はどういうことか!
 
 この時点で

  .  1たけし > 30トバル

 という冷徹な数学が重くのしかかってくる。

 何故だ。
 そんなにもビートたけしは偉大なのか!?
 
チュージ・ウーが30人、束になってもかなわないのか!? かなわないような気もするが。

 
 …あ、ちなみにチュージ・ウーはトバルの主人公です。一応。
  正直、パッケージにイラストが出ていることと
  キャラ選択時にデフォルトでカーソルが当たってる以外、主役らしさはカケラもないのですが


 まあ、それはそれとしてだ!

 この名作が 
1/30 たけし 程度しか評価されていないのは何故か! ということをまずは分析せねばなるまい!

 評価とは、つまり周りがこのゲームに対してどんなイメージを持っているか、ということである。
 トバルと聞いてあなたは何を連想するだろうか?

 個人的に調査してみた結果、以下のような興味深い資料が得られた。

貴方はトバルと聞いて、何を連想しますか?

 ごらんの通りである。

 下から見ていこう。いや、布団はいいから、その次から!


 ■カクカクしたポリゴン
  
  これは致しかたの無いところ。
  トバル1の発売は1996年。プレイステーションの黎明期。
  RPGはアーク1しか存在しないくらいの黎明期だ!
  
  この頃のポリゴンはあの、
放映事故で一躍有名になった人工ポケモンの姿そのままであり、
  カクカクしてないポリゴンなどあり得なかった。

  この後発売されたFF7でさえ、手足が一直線の丸太にしかみえないお人形っぷりであって
  トバル1のポリゴンがカクカクしてるのは仕方ないことなのだ。


 ■オバサンが戦う

  これも致しかたの無いところ。
  …いや、その、多分致しかた無いんです。無いんだよ!

  戦うオバサン。その名も
マリー=イボンスカヤ
  トバル1にたった二人だけ登場する、染色体XXの持ち主。
  ってゆーか貴重な女性キャラ枠の一人
  
  格闘スタイルはプロレス系。いわゆる女子プロです。
  その豊満な肉体はボスキャラを除く全キャラ中最大級の体格を実現しており
  老拳士フェイと並ぶと、まさに大人と老人ぐらいの対格差があります・・・って、普通だね。

  まあ、ともかく何がどう間違ったのか、
  彼女はドリームファクトリーが送り出した、世にも珍しい
オバサンパワーファイター
  年齢33歳。

  今でこそ、割と居そうなキャラじゃない? なんて思われるかもしれませんが
  女子プロだのオバサンだのといっても、トバル1の発売は1996年。
  
ストゼロ3のレインボー・ミカより2年早く、KOFのヴァネッサより4年早い!

  っつーか、上の二人がプロレスだの、30代だのと言っても結局は
美女であるのに対し
  マリーは本当にオバサンです。
  格闘ゲームにおいて美女、美少女でない女性キャラというのは本当に珍しく、
  たま〜にナゾの婆さんが出てきたりしますが、オバサンはあんまりいません。

  何故かと言うと需要が無いからであって、
  そりゃー格闘バカのむさくるしい男どもに囲まれて見れば、せめて女性キャラぐらい美しくというか…

  しかしそんな一切の媚びをあざ笑うようにガチンコの格闘家として女性キャラを出してきたトバル。
  "乳揺れ"? そんなもん、
あったら地獄です。

  そんなわけで、初めてトバルをプレイしたプレイヤーは圧倒的なインパクトを受け、
  結果、
トバル=女性キャラがオバサンで、華のないゲーム
  というイメージを植えつけられているようです。

  一応、美少女のエポンもいるんですが、
彼女は覚えてもらえなかった模様
  肌の露出も少なく
  男性ファンに媚びるような、ぶりっ子でもなく、
  綾波系(当時そんな言葉は無かったけど)でさえもない美少女キャラは
  しょせん、覚えてもらえないのでしょうか。
  本作のキャラクターは総じてわざとらしくない程度のキャラ付けに抑えてあるのが特徴なので
  これまた致し方ないことかもしれませんが。

  ちなみにマリーは子持ち。
  性格は豪放だけど、割と上流階級の人っぽいです。
  あくまで、レスラーは職業。家に帰れば日傘を差して子供と散歩する母親。
  インパクトはデカイが、設定に無理は感じない。
  なかなか絶妙なキャラクター設定だと思うのですが
  そもそもそんな設定すら知らない人が大多数という悲しい現状…


 ■鳥山明

  そう。
  このゲームのキャラクターデザインは、あの鳥山明先生。
  いわずと知れたドラゴンボールの作者です。

  そう考えてみると、先のマリーの設定も納得がいきますね。……いくんだよ!

  "萌え"なんぞ、どこ吹く風!

  生活感溢れるキャラクターづくりは鳥山明先生の世界観でしょう。

  しかしそのマッタリとして味付けは
  ファイナルファンタジーで「異世界の人間ドラマ」を体験してきた少年たちには、
  いささか薄味に思えたのも事実。

  ナゾの力を秘めた記憶喪失の美少女…とか、
  クールで陰のある美青年剣士…とか
  そんなファンタジーなキャラクターを求めていたスクウェアファンとは、
  かなり温度差があったことでえしょう。

  
だからってFFキャラを登場させたエアガイツの評判はどうかというと……

  個人的には、"トバル"の、日常生活から離れていない人間味あるキャラは好きなんですが
  "キャラクター人気"という点で全く盛り上がらなかったことも、トバルの印象が薄い理由の一つといえます。

  鳥山先生の方は、結構マジで取り組んでいたようで、
  [主人公とライバル]という位置づけのチュージとグリンは体格や年齢を同じにする、とか
  それまでの格闘ゲームにいなかったマリーのようなキャラをあえて出す、など
  かなり考えてキャラをデザインされたそうです。

  ただ、「3Dで動くことを前提に、目が大きいなどの漫画っぽい表現はあえてやめた」
  …という部分が「鳥山らしくない」と言われてしまう原因でしょうか。
  今のように漫画っぽい3D絵が表現できる時代なら
  キャラデザインもまた、別のものになっていたかもしれません。


 ■FF7体験版

  
これです。
  トバルの知名度を一気に引き上げ、かつ、評価を大幅に引き下げたのがこの要素。
  オマケとしてついてきたFF7の体験版に魅力がありすぎたんじゃぁああああ!!

  FF7は、ファイナルファンタジーシリーズのプレステ参入作。
  シリーズ初の3D化であり、初のCGムービー搭載であり、
  そしてアーク1(の、ボリューム不足)で大いに失望したRPGファンの希望の星でした。

  今でこそ「超大作だけど人気は並」「ムービーもハイクオリティだけどコストもハイクオリティ」という
  
滅亡寸前の恐竜を思わせるゲームとなっているFFシリーズですが
  当時はFF,ドラクエの絶頂期。
  ゲーム界の盟主の座を任天堂から奪い取り、世のゲームはFF,ドラクエとその他に大きく分けられていた時代です。
  体験版、というフレーズも定着していない時代でしたから
  発売前の、しかも全く新しい3DのFFを少しでもプレイできるというのは
  それだけでトバルを買うに値する魅力でした。

  結果、トバル=FF7体験版のオマケ

  という立場の逆転現象が起こり、
  トバルは大して遊ばれもしないうちに駄作と認定され、捨て置かれる羽目になったのです。

  まして、その続編のトバル2になると、「体験版が無いなら用は無い」とばかりに目も向けられず
  結局、トバルシリーズに対する世間の評価はトバル1のみで決まってしまったようなのです。
  上で出ているトバルの印象のほとんどが「トバル1」に対する印象である、という点からも
  このことは伺えるでしょう。

  だが! トバルの真価はトバル2の方にあり!
  声を大にして言いたい。
  
トバル2は埋もれた名作なのだ、と!


1.リアル格闘が熱い! の巻

 トバルの舞台は惑星トバル。すなわち宇宙!
 当然、宇宙人も試合に多数参加!

 参戦キャラ中13名(隠しキャラ除く)中、実に
6名が非人間型!
 ウサギ人間からロボットまで、色物キャラ、よりどりみどり!
 さすがは鳥山明ワールドだ。

 にもかかわらず、試合内容は「リアル」
 厳密に言えば、全くリアルではないのだが、「リアルっぽい」のだ。

 キャラクターはみな、「肉体」で戦い、"気"やら"サイコパワー"やらには頼らない。
 
 ("奥義"だけは別だが、そもそも使わないので…)

 特殊な体型の非人間キャラはその特殊さを利用して戦うのだが(ロボが首を伸ばして攻撃するなど)、
 それすらも、超常現象でなく、肉体を駆使した技と考えれば「リアル」だ。
 
 多少、アクロバチックな動きの中で重力を無視しているものもあるが
 基本的にはジャブ、フック、アッパーや回し蹴り、など
 重力の範囲内の動きで戦っている。

 そして特別な「必殺技」を持たず、ひたすらコンビネーション(もしくは単発の強烈な一撃)で戦う。

 そこを「地味」と捉えるか「駆け引き重視の熱い戦い」と捉えるかは人それぞれだが
 必殺技の名前も叫ばず、ひたすら己の肉体を駆使して戦う姿には、
「漢の魂」を感じずには居られないだろう。

 要するに、設定の割には正統派の3D格闘ゲーム。
 超能力バトル化が激しく進む2Dに対し、リアル格闘路線で攻める3D格闘の王道を行くゲームなのだ。


2.操作システムが熱い! の巻

 トバルの操作システムはきわめて単純である。

  . 上段
中段
× 下段
 .  
R1 上段ガード
↓+R1 下段ガード
L1 ジャンプ
.  
R1+△ 強上段
R1+□ 掴み
R1+× 強下段


  そして十字キーで8方向移動。基本はこれだけだ。

  最も特徴的なのが、攻撃ボタンが
「パンチ、キック」ではなく、「上、中、下」に分かれていること。
  
  上、中、下とボタンを押していけば、
  (そうしたコマンドの技を持っているキャラなら)上段、中段、下段という
  コンビネーション攻撃が出来るわけだ。

  非常にわかりやすいね!

  これが従来のゲームだと、
  たとえばパンチ、パンチ、→キックと入力すれば上段、上段、中段のコンビネーションになる、といったように
  技ごとに特性を覚えて使うことになるのだが
  押したボタンと、その攻撃の属性が直接、紐づいているトバル方式は、
  いわばコマンドが暗号化されておらず、シンプルなわかりやすさが光っている。

  わかりやすいだけでなく、「今、自分が中段攻撃を出したんだ」という実感を持ちやすい利点もある。
  コマンドから技の内容へ、ワンクッション置いているほかのゲームよりも
  プレイヤーとキャラクターに一体感があるのがこの方式の特徴。

  中、中の攻撃なら中段2連発に決まっているし、
  中、下なら当然、途中から下段攻撃に切り替わる。

  この、当たり前の単純さが、トバルシステムの真骨頂である。

  …トバル発売より10年間、これをパクろうとするゲームがほとんど無いのは一体、何故だろう?
  純粋に疑問に思えて仕方が無い。
  
プレステのコントローラに最適化されているので、アーケードと相性が悪いからかな?
  
  ちなみに、
3D格闘ゲームツクールではこの方式がとられているが、
  どうやら製作者が大のトバルマニアだったらしく、攻略本でトバル2が絶賛されていた。

  3D格闘ゲームツクール2では採用されなかったのが残念……
  (後ろでガード、攻撃はパンチとキックのスタンダードなシステムになっていた)
  (サンプルキャラの流派も格闘技マニアっぽい拘りがあまり無く、完全な路線変更が行われたようだ…)


3.ジャストフレーム技が熱い! の巻

  基本操作が「シンプルさ」を追求したものならば
  ゲームをやり込んだ中級者以上のプレイヤーのために
  「複雑さ」を導入したのが、このジャストフレーム入力システムだ。

  基本操作だけでも結構な連携、連続技を出すことは出来るのだが
  やや複雑なジャスト入力技を使いこなすことで、
  攻撃の多彩さが倍増し、さらに戦闘を楽しむことが出来る。

  で、その内容だが、
 
  「先行入力を受け付けず、特定のタイミングでボタンを押すことで発動する技」

  これがジャスト入力技。

  たとえば登場キャラの一人、グリン・カッツは

  [強下、中] で 大振りな足払い→前転しながらの浴びせ蹴り
  という連携を持っているが、
  この2段目の中をジャスト入力で出すと

  大振りな足払い→前進して素早いアッパーカット

  という連続技に変化。
  [強下、中] の技が連続ヒットしないのに対し、[強下、ジャスト中] ならば連続ヒットし、威力も強烈。
  当然、ジャスト入力を狙っていくべきだろう。

  また、ある連携技から別の連携へとシフトするのにもジャスト入力が使われる。
  トバルの連携技は、大抵が2〜3段で終了してしまうのだが、
  ジャスト入力によるシフトを利用することで、かなり長い攻めを組み立てることができるのだ。

  上と同じくグリンで説明するが、彼が持つ技の中に

  [↓下、中]で出る低い飛び蹴り、
  [←中、中]で出せるボディブロー2連発
  [↑↑中]で出せる特殊な構え「グースステップ」

  というものがある。
  飛び蹴りは着地後に硬直時間があり、通常、そこで攻撃が途切れてしまうのだが、
  飛び蹴りの着地直後にジャスト入力で[←中、中]を入れると、
  これがスムーズにボディブローにつながり、攻撃を維持できる。
  さらにボディブローの2発目の終了後、タイミングよく中ボタンを押すことで
  [グースステップ]に素早く以降可能!
  
単発で出すことの出来る技同士を、ジャスト入力で繋いで連携を組み立てていく。
  これがジャスト入力の面白さだ。

  ジャスト入力が成功すると、攻撃部位がキラキラと光る粉のようなものを撒き散らすため、
  成功したかどうかは一目で判断可能。見た目にも華麗だ。
  必殺技を持たないトバルのキャラクターたちにとって、
  ジャスト技こそが「必殺技」にあたる存在といえるだろう。

  ジャスト入力連発でキラキラプレイを楽しむのも一興。

  [上、上、中、J下、中、J中、中、J中、下、J←中、上、中、J中、J下、J中]!
 
 (Jはジャスト入力)
  
  コマンドを列記していくと、まるで呪文かお経のようだが
  「特定のタイミングでボタンを押す」という性質上、
  「技を出す、まさにそのタイミングでボタンを入力する」という形になるため
  暗記してコマンドを入力するだけ、という作業感は無く、
  「今、自分が技を出している!」という快感がある。

  最近は鉄拳などでもこのシステムが使用されているらしいのだが、
  もっと注目されて良いシステムだと思う。


4.トレーニングが熱い! の巻

  ジャストフレーム、確かに面白そうだけど、
  実際にどのタイミングでどのボタンを押せばいいの?
  技表全部暗記しなきゃいけないわけ?

  そんな不安にお答えするのが、超充実のトレーニングモードだ。
  このトレーニングモード、普通のゲームのように技コマンドの一覧を表示するようなことはしない。
  
  そんなわずらわしい一覧表など無くとも、
  画面右端に表示された[上]、[中]、[下]のボタンが、技表の代わりになってくれるのだ。
  
  たとえば、
   [上、上、中]
   [上、上、下]
  という技を持っているキャラがいるとしよう。

  このキャラが上段攻撃を行うと、端に表示された[上]のボタンが光る。
  そして、[上、上]と入力すると、次は[中]と[下]のボタンが光る。

  つまり、次に出すことの出来るコマンドが光る仕組みになっているのだ。
  わざわざコマンド表を切り替えて確認するような作業は不要!

  そしてお待ちかねのジャスト入力だが、
  端に表示されたコマンドボタンは、実は2列あり、
  片方が先行入力、もう片方がジャスト入力用となっている。

  キャラの持つ技が
   [上、中、中]
   [上、中、J下]
  だった場合、

  [上、中]と入力すれば、まず先行入力用の[中]ボタンが光り、
  さらにジャスト入力のタイミングで、とジャスト用の[下]が一瞬だけ光る。

  これでジャスト入力のタイミングもバッチリだ!

  普段、何気なく使っている連携をトレーニングモードで試したら
  思いがけないタイミングでジャスト用ボタンが光っていた…などということもあり
  そこから新たな連携を発見できるケースもある。
  
  シンプルだが非常に有用なこのトレーニングモード。

  まあ、
  トレーニングなのにリングアウトで終了してしまうところはいただけないし、
  何故かトレーニング項目の中にカラーチェンジがあり、
  
キャラのカラーチェンジがここでしかできないのも疑問ではあるけれど
  その辺は置いとくとしましょう。


5.空中コンボが熱い! の巻

  トバル1は確かに地味だった。
  リアル格闘にこだわったが故だったのだが、評判はイマイチ。
  それに対する返答の一つが、ジャスト入力時のキラキラという演出。

  そしてもう一つが、
空中コンボの導入である。

  浮かせ技で打ち上げた後、ジャスト入力を利用した連続技での追撃は
  連続ヒットする技が少ないこのゲームにおいて、最も確実なダメージソースの一つ。
  いわば「華」といえる要素である。

  そして何より熱いのは、

  空中コンボを導入するためにストーリー設定が用意された

  ということだろう。
  以下、その設定を要約

  トバル1のリングは地球と同様の重力に設定されていたため、
  相手を空中に吹き飛ばして追い討ち、などという非常識なことは出来なかったのだが
  トバル2のリングは地球より軽い惑星トバルの重力に合わせて設定されているため、
  アッパー1発で相手を吹き飛ばすことができるのだ!

  …どうだろう。

  熱さを感じないだろうか。

  
物理的に空中コンボなんてできるわけねえだろ! というリアル志向の拘りと、
  
でも空中コンボ格好いいじゃん! というゲーム上の都合が
  惑星トバルの重力によって華麗に融合!
  
  さらに、リングの設定を惑星トバルの重力にわざわざ変更した理由についても
  後に説明するクエストモードの舞台が惑星トバルと同じ重力のエリアであるため、という
  多分後付けだが非常に辻褄の合ったものになっている。

  ぶっちゃけ、何の説明もなしに空中コンボ導入しても、誰も違和感は感じないけどね。

  ってゆーか、重力が違う割にジャンプ力は変わってないんですけどね。
  …まあ、そんな突っ込みは野暮ってもんでしょう。


6.適度なゲームスピードが熱い! の巻

  トバルのゲームスピードは、遅めだ。
  速さ=爽快感という意識を刷り込まれたプレイヤーにとっては、
  非常にモッサリとしたゲームに思えるだろう。

  だが、この「遅さ」がゲームを「暗記の退屈感」から脱却させていることは注目すべきだろう。
  
  ぶっちゃけると、ゲームスピードの速いゲームにおいては、
  技を見てから反応したのでは遅すぎる。
  この連続技なら、何段目で下段が来る、といった技の内容を覚えたうえで戦うことになりがちだ。

  トバルは違う。

  ギリギリ、目で見て反応できる速度に抑えられている。

  特に下段攻撃は全体的に発生が遅めで、
  立ちガードから、相手の姿勢が低くなるのを見て、下段ガードに切り替えるのも難しくない。

  それじゃー、途中から割り込んでの反撃が入りまくりなのでは? と思う向きもあるだろうが
  割り込む技の発生も遅めなので
  そうそう簡単に反撃できるわけでもない。

  さらに、連続技が2〜3ヒット程度で終了し、つながらない「連携技」の方が多いため、
  一方的に体力を削られることもなく、常に駆け引きの楽しさがあるのだ。

  モーションも、円を描くような綺麗な動きが多く、
  ジャスト技なら、その円をキラキラがたどっていくため、
  「緩やかだが鋭い」という絶妙なモーションになっている。


7.しゃがみ関連が熱い! の巻

  しゃがみ。
  それは格闘ゲーム黎明期からの矛盾。
 
  つまり、
  格闘中にしゃがみこんで戦う奴がいるのか!?
  という突っ込みである。

  早い話、
いねーよ! ってことです。

  2Dなら、まあ、そういうものだから…と、なんとなく納得してしまうだが、
  3Dのリアルな画面でしゃがみこまれると、奇妙さが際立ってしまう。

  空中コンボの導入にすら、説明を付け加えずにいられないリアル志向の
熱い開発スタッフが
  そこを無視するはずはない!

  と、いうわけでこのゲーム、基本は「立ち」。
  上、中段攻撃が比較的素早く発生し、下段は遅めというバランスがその秘密。
  立ちガードで相手の攻撃をこらえて、下段に併せて一瞬、体をかがめてガードする。これがガードの基本となる。

  「しゃがみガード」は存在するが、ガードと関係ない「しゃがみ」は存在しないのも熱い。

  格闘中にしゃがむとすれば、相手の攻撃を受け止めるか、避ける時ぐらいだろ!

  そんな
クソ熱いこだわりが感じられないだろうか。

  しゃがみガード状態から出せる攻撃も、攻撃後は立ち状態になるので、
  しゃがんだままの攻防というのは存在しない。

  それがトバルというゲームなのである。 


8.ガードによる連携ストップ熱い! の巻

  上の方で、敵の連携に割り込むのは、簡単ではない、と書いたが
  じゃー、相手の攻撃が終わるまで防御し続けるの? という疑問に対し、お答えするのが
  連携ストップのシステム。

  と、言ってもそう複雑なものでなく

  大振りな技はガードされると硬直が発生し、それ以降の連携を受付けない

  というもの。

  たとえばグリンの連携に

  [上、上、中、J下、J←中(浮かせ)]

  というのがあるのだが、
  4段目の下段攻撃が、この「大振りな技」にあたり、
  これがガードされるとその後の浮かせ技を出すことは出来ず、隙が生まれてしまう。

  ガードする側としては、大振りな技を確実に見切って反撃することが重要というわけ。

  そして大振りな技には、下段技が多い。

  よって、普段は立ちガード安定ながらも
  大振りな技に合わせて下段ガードを混ぜていくことは
  反撃のために、非常に重要なのだ。

  下段技をガードしたあとは、「しゃがみからの立ち上がり」という状態になるのも大きい。
  この状態で出せる技には強力なものが多く、浮かせ技から一気に大逆転、というのも夢ではない。


9.掴みからの攻防が熱い! の巻

  [G+中]で「掴み」。
  他のゲームでいえば「投げ」にあたるこのシステムが熱い!

  「掴み」はガード不能で、かつ、接近していなければ使うことが出来ない。
 
  「投げ」と何が違うのか、というと、掴んだ時点ではダメージにならないこと。
  掴んだ後、いくつかの行動をとることが可能で、その駆け引きが熱いのだ。
 
  掴んだ後、さらに[G+中]で投げが発動。敵を投げ飛ばして大ダメージだ。
  掴んだまま[上]または[下]で掴み攻撃。
  3回当てると敵をグロッキー(気絶)状態に追い込める。
  掴みながら方向キーで、相手を押す(引く)。
  相手を押しながら投げれば、通常とは違う投げ技が発動だ。

  捕まれた側も対処が可能で、
  投げには投げ抜けが存在。
  掴み攻撃は上下にあわせたガードが可能で、ガードすればこちらが有利。
  押し引きに対しては、相手と逆方向にキーを入れることで逆に相手を掴み返すことが可能。

  また、投げ抜けをすると、投げられる前とは違う体勢で相手をつかみ返すこともあり、
  投げ→投げ抜けで掴み返し→投げ返し→さらに投げ抜け…と、柔道さながらの投げ合戦が実現できる。
  オプションから閲覧できる「名人の試合」ではすさまじい投げあいも観察できるので
  その暑苦しさを是非、体験していただきたい。

  尻尾の生えたキャラを背後から掴むと「尻尾掴み」になるなど、細かい拘りも見逃せない。


10.クエストモードが熱い! の巻

  トバル伝統の(と、言っても2作しかないけれど…)クエストモード。
  格闘ゲームとダンジョンRPGを融合したユニークなゲームだ。

  内容は、ダンジョンを最奥まで進んでいくシンプルなもので、
  敵キャラが登場すると、格闘での戦闘となる。

  攻撃に使った部位ごとに経験値がたまり、キャラに個性がついていくなど
  独創的なシステムを持っている。

  全体的な内容は「トルネコの不思議なダンジョン」の3D版。
  満腹度や、識別されていないアイテム、毎回変わるダンジョンなど、
  おおまかな設定は受け継いでいるのだが

  ・ダンジョンに入ったらクリアするまで脱出不能
  ・戦闘が格闘ゲーム
  ・モンスターを捕獲可能
  ・死=ゲームオーバー
  ・町に戻っても回復スポット無し
  ・店で売ってるものがランダム且つ未識別

  というのが大きな相違点。  

  ってゆーか識別してないものを売るなよ!  
  店のオッサンに思わず回し蹴りをかましたくなる一瞬。
  
(食べ物系はちゃんと識別されてるのでご安心を)

  全体的に

  ・脱出できない=地道なレベル上げは不可能
  ・町に帰ってもアイテムを買わないと満腹度は減ったまま
  ・とゆーか町の中でも満腹度が減っていく
  ・売ってるものがランダムなので食べ物が確保できない
  ・ザコも格闘ゲームで戦うので、意外なところで苦戦して大ダメージもアリ。

  …と、結構キツい難易度になっている。
  せめて町の中では満腹度減らさず、食べ物は安定して供給して欲しかった…

  ダンジョン本編は難易度ゆえの緊張感があり、一瞬たりとも気を抜けない。

   ・ちょっとアイテムを稼ごうと余分な敵と戦ったら、そこで意外なダメージを受けて
    しかもアイテムは手に入らず…結局その後の敵で死亡

   ・有用な薬を持っているにもかかわらず、まだボスじゃないから…と
    出し惜しみしているうちに意外なザコに苦戦して、死亡

   ・余裕があるので敵を捕獲しようと、袋から捕獲の石を取り出していたら
    その間に反撃を受けて、死亡
(メニューを開いても敵は止まりません)

  などなど、ダンジョンにまつわる悲喜劇は絶えない。

  死亡すると完全にゲームオーバーで、何も引き継がれるものは無し!
  ゲームオーバーが本気で悔しいゲームというのは、案外無いものだが
  このゲームはそれだ!

  ダンジョンクリア時には、別に美麗なムービーも感動的な展開も無いのだが
  辿り着くまでの苦労と、それが実を結ぶ達成感こそが最大の感動!
  
  7種類のダンジョンをクリアして、見事世界を救ってください。
  
  上でもチラっとかきましたがクエストモードでは
  モンスターを捕獲可能です。
  
  たまに手に入る「捕獲の石」を弱った敵モンスターにぶつけると、敵モン、ゲットだぜ!
  対戦やCPU戦で自キャラとして使用可能です。
  色違い含めて全部で200種類以上!

  序盤に捕獲できる敵は、技の種類も少なく、大して面白みも無いのですが
  後半になるとかなり多彩な動きを見せ、敵専用の技も披露。
  GHOSTなどが個性的でオススメ。


11.音楽が涼しい! の巻

  格闘ゲームの音楽といえば、激しいものを連想しがちだが
  トバルの音楽は落ち着いた曲調のものがメイン。
  最初は戸惑うかもしれないが 

  ゲームスピードが遅めで、駆け引きが重要なトバルには、非常にマッチしている。

  いまや、トバルのBGMには、他のものは考えられないくらいだ。


12.奥義は、要らない! の巻

  奥義いらねーって!

  なんか浮いてるっしょ!

  と、いうわけでトバル2からの新要素で唯一、不評な「奥義」
  簡単に言うと「体力を削って放つ、ガード不能の飛び道具」です。

  「地味」「必殺技が無い」という不満に応えての追加要素なんでしょうが
  あまりに大味すぎる上に、たまに暴発してしまうので評判は悪いです。
  他のわざと比べても、あまりに世界観が違う気もしますしね。

  なんでもトバル1時は大会ルールで禁止されていたが、2では解禁されたそうで。
  もう一度そのルール、元に戻してくださいウダン皇帝!


キャラ紹介等は次回予定〜

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