第六章 光を継ぐもの

 

1、かつて無い恐怖

シグルドの死から15年。セリスはイザークの隠れ里ティルナノグで立派に成長していた
一方、アルヴィスはグランベル皇帝に即位。
各国への圧制。ロプト教団の台頭。
皇女ディアドラの子、光の皇子セリスが立ち上がるときが来た……

ロドルバン 「セリス様。ついにこのティルナノグの隠れ里がダナン王に発見されました!」
セリス    「本当か
スカサハ!!」
ロドルバン 「……いや、
俺はロドルバンなんだけど……」
セリス    「は? 
誰?」
ロドルバン 「誰って、幼馴染のロドルバンだよ!」
セリス    「スカサハはどうした!?」
ロドルバン 「そんな奴いないって!」
セリス    「馬鹿を言うな! ……おい、ラクチェ! 出て来い!」
ラドネイ   「私はラドネイなんだけど……」
セリス  「………? なぜだ。知らない人ばっかりいる」
マナ     「セリス様、私も戦います」
セリス    「
ナ、髪を染めたのか」
マナ     「
ナです」
セリス    「……………?」
ラドネイ   「ダナン王によるイザークの支配は酷くなる一方。私たちが立ち上がるしかない!」
ロドルバン 「けど、オイフェさんたちは旅行中なんだぞ」
セリス    「………あのさ。
君たち誰?」
マナ     「……記憶喪失ですか? 小さい頃から一緒の、幼馴染じゃないですか」
セリス    「私の幼馴染はスカサハ、ラクチェ、ラナにレスター、デルムッドだ」
ロドルバン 「へ? 俺とラドネイ、マナにディムナ、トリスタンだろ?」
セリス    「……自己紹介して」
ラドネイ   「私が女剣士のラドネイ。こっちが弱気な兄貴のロドルバン」
ロドルバン 「だ、誰が弱気だよ」
セリス    「なるほど、目が弱気そうだ」
マナ     「ま、マナです。シスターです」
セリス    「ふーん。ラナよりも清純派っぽいなあ」
マナ     「兄さんたちはそのうち登場しますから」
セリス    「まあいいや。それはそれとして、一番大事なことを聞いておこう」
三人    「(やや緊張)」
セリス    「君らはどこの血筋?」
ラドネイ   「血筋って、別に。全員イザーク生れのイザーク育ちよ」
セリス    「へえ、それじゃ、シャナンの親戚か。流星剣は使えるんだね?」
ロドルバン 「そんなわけないって。タダの平民なんだから、俺たち」
セリス    「は? 平民」
ロドルバン 「あ、ああ」
マナ     「高貴な血筋なんて引いてない、タダの平民です」
セリス    「…………」
ラドネイ   「どうした?」
セリス    「………庶民ごときがこの僕の幼馴染だって?
         僕が誰だかわかっててもの言ってるわけ?
         グランベル王家の血を引く光の皇子だよ?」
ロドルバン 「そ、そんなこといわれても……」
セリス   「騎士でさえ『庶民』呼ばわりされるこの『FE界』において
        貴族ですらない平民が主要メンバーにいきなり三人?
       
君たち出るゲーム勘違いしてない?」
ラドネイ  「現実を認めろ。このメンバーで進軍するしかないんだよ」
セリス   「ま、仕方ない。君らを下僕として認めてやろうじゃないか。
        で、君らの武器は?」
ロドルバン 「鉄の大剣」
ラドネイ  「鉄の大剣」
マナ    「ライブの杖」
セリス  「出直して来い」
ロドルバン 「仕方ないだろ、貧乏なんだから」
セリス   「スカサハはいつも勇者の剣を! ラクチェは銀の剣を持っていたぞ!
        ラナだったらワープぐらいは最低でも……」
ラドネイ  「黙れ! だいたいお前の持ってる武器を私たちに分けてくれれば済むことだろ」
セリス   「ん? そういえばいつもにも増して所持品が豪華だ」
マナ    「銀の剣、銀の大剣、勇者の剣、守りの剣、レッグリング……」
セリス   「やれやれ、これを恵んであげるしかないようだね。ただし次の城に行ってからだけど」
ラドネイ  「……これだから男は嫌いだ」
ロドルバン 「男とかそういう問題か?」
セリス   「じゃあ、行くぞ庶民ども」
マナ    「は、はい………」

  こうして、セリスと愉快な庶民たちの戦いは始まった……

セリス   「よし、敵は斧だ。ザコだ。とりあえずソードファイター二人は反撃で敵を倒せ」
ロドルバン 「お、俺、実戦初めてなんだけど……」
セリス   「言い訳するな! 敵の命中率はたかが40%だぞ!」
マナ    「が、頑張って、ロドルバン」
イザーク兵「そりゃ!」
ロドルバン 「うわっ!」
セリス   「回避失敗しやがったな
この庶民!」
ロドルバン 「く、喰らえ!(ザシュッ、ザシュッ)。ふう、二回とも命中」
セリス   「おい……
二回命中させてなんで敵が生きてるんだ!」
ラドネイ  「弱った敵は私が……とりゃ!」
セリス   「斧一匹倒すのに二人がかり……?」
マナ    「回復するわ、ロドルバン」
セリス   「…スカサハは最初の敵にいきなり必殺を出して華々しく第二部のスタートを切ったんだよ。
        それが何だい、君は。今のザマは!」
ロドルバン 「そ、そんな超人的な奴といっしょにされても……」
セリス   「かつて無い恐怖だ……こんな奴等と一緒で本当にグランベルと戦えるんだろうか」
マナ    「と、とりあえずガネーシャまで進軍しましょう、ね」
セリス   「……僕が中心になるしかないわけか。弱った相手に君らが経験値稼ぎ……」
マナ    「も、もうすぐオイフェさんたちが帰ってきますから」
セリス   「そうだね……庶民よりはオイフェのほうがマシだ」
ロドルバン 「なんか酷い言われようだな」
セリス   「とにかく使える仲間が出てくるまでは君たちが戦うしかない。
        必殺か連続を持ってる奴がいたら名乗り出ろ!」
ロドルバン 「俺、追撃と待ち伏せしか……」
ラドネイ  「私は追撃だけ」
マナ    「ごめんなさい。スキルありません」
セリス  「お前等やる気あんのか」
ロドルバン「じ、自分だって追撃と見切りしか持ってないだろ」
ラドネイ  「そうだ。
アレクと一緒だろ」」
セリス   「基本性能が違うだろ、アレクとは!
        いいかい、君たちは基本性能がアレクの上にスキルまでアレク程度なんだよ。分かる?
        全く使い道が無いじゃないか!
アレク(霊)「……。さすがシグルド様の子供だ」
セリス   「ん? 今何か聞こえたか?」
マナ    「いいえ、全然」
ラドネイ  「とにかく進軍しよう」
セリス   「ゆっくりね。はぁ……」

  一方その頃、イザークに戻ったオイフェたち

オイフェ   「わかってはいたがやはり青年飛ばして中年は辛いな……」
ディムナ  「へ? 何言ってるんですか、オイフェさん」
オイフェ   「いや、なんでもない」
トリスタン  「どうやらセリス達は既に旗揚げしたようだな」
ディムナ  「たった四人で旗揚げってのもかなり無謀だけど」
トリスタン  「お前の妹もだぞ」
オイフェ   「うむ。今回は苦戦しているはずだ。急ぐぞ」
ディムナ  「今回は?」
オイフェ   「いや、なんでもない。急ごう」
トリスタン  「フッ……戦力が軟弱ならば私の活躍の場もあるというもの」
オイフェ   「一番軟弱な奴にそんなことを言う権利は無いぞ」
トリスタン  「何を馬鹿な……」
ディムナ  「あ、敵だ」
イザーク兵 「うりゃ!」
トリスタン  「甘い! 反撃!」
オイフェ   「一発だけな」
ディムナ  「しかもよりによって装備が鉄の剣じゃ、ダメージも小さいよ」
トリスタン  「フッ、能ある鷹は爪を隠すのだ」
オイフェ   「ディムナ、片付けておきなさい」
ディムナ  「そりゃ! そりゃ! あれ、まだ死んでない」
オイフェ   「……なんと貧弱なダメージ……。経験値を稼がすのも一苦労か」

  そしてセリス達との合流

セリス   「オイフェ! ようやく使える戦力が出てきたね!」
オイフェ  「いつもはこの時点で戦力外通知ですから、新鮮な感覚ですな」
ディムナ  「セリス様、マナは無事ですか?」
セリス   「誰だ君は」
ディムナ  「へ? アーチナイトのディムナですけど」
セリス   「ナイト? ということは貴族なのかい。ようやく身分相応の仲間が出てきたな」
ディムナ  「いや、別に貴族じゃないですけど」
セリス  「帰れ」
ディムナ  「そ、そんな……」
セリス   「貴族でもない奴がナイトとか名乗るな! ぬか喜びさせやがって」
トリスタン 「確かに問題だな、ディムナ。ホースメンとでも名乗るがいい」
セリス   「で、君は? フリーナイトってことは名前だけ『ナイト』で傭兵とか庶民かい」
トリスタン 「馬鹿を言うな。私はれっきとしたアグストリアの騎士の息子」
セリス   「そう。なら期待できそうだね。顔もデルムッドよりいいし」
トリスタン 「フッ、まあそういうことだ」
セリス   「で、スキルは? 連続か必殺ぐらいは持ってる?」
トリスタン 「必殺を持っている。クラスチェンジすれば連続もつく」
セリス   「へえ、悪くないね。他のスキルは」
トリスタン 「無い」
セリス   「は?」
トリスタン 「個人スキルは必殺のみだ」
セリス   「追撃は?」
トリスタン 「無い」
セリス  「帰れ」
トリスタン 「フッ、愚かな皇子は真の天才を受け入れないということか……」
セリス   「まさか追撃すら持ってない奴が味方になるとは思ってなかったよ。
        ノイッシュじゃあるまいし」
ノイッシュ(霊)「嫌な例に使わないで下さい」
オイフェ  「ともかく、ガネーシャを落としましょう」
セリス   「そうだなあ。僕がやれば簡単だけど」
ロドルバン 「ここは庶民の意地を見せる!」
トリスタン 「私に任せておけ」
セリス   「……。いいよ、好きにやれば?」
マナ    「ハロルドていう人がボスらしいですよ」
ラドネイ  「死ね! 細目!」
ハロルド  「反乱軍ごとき、敵ではない!(大盾)」
ラドネイ  「ほ、細目の癖に!!」
ロドルバン 「次は俺が相手だ!」
ハロルド  「甘いッ!」
ロドルバン 「ぐふっ!」
オイフェ  「セリス様、リセットです」
セリス   「…………」
ロドルバン 「ふう、生き返った」
トリスタン 「次は私の必殺攻撃を食らわせてやろう」
ディムナ  「僕の遠隔攻撃もね」
セリス   「………オイフェ、やってくれ」
オイフェ  「了解しました。ちょうど相手が瀕死になりますからな」
ハロルド  「くっ、やるな……」
トリスタン 「止めだ! 必殺!」
ハロルド  「こ、こんな寄せ集めの相手に……」
セリス   「全くだ」
オイフェ  「最初の中ボスにこれほど苦労したのは初めてですな」
セリス   「頭が痛い・……」

 

 

2、斧兄弟とラドネイと

からくもガネーシャを落としたセリス達
先行きはかなり不安……

セリス   「ここがガネーシャか。しけた街だね」
レヴィン  「お前の育ったティルナノグも大してかわらんだろう」
セリス   「ああ、レヴィン。こんなところで何してるの」
レヴィン  「実はお前にこの子を預かってもらおうと思ってな」
ユリア   「………」
セリス   「ユリアか。あんまり使える戦力じゃないな」
ユリア   「クスクス……自分だって親の七光りの癖に」
セリス   「ま、いないよりマシだ。僕の世界征服のためには一つでも多くの駒が必要だからね」
レヴィン  「お前、いつから悪役になった」
セリス   「ふふん、もちろんシレジアも僕のものだよ」
レヴィン  「…………」
ユリア   「クスクス………」
セリス   「ああ、そうそう。武器を庶民どもに与えてやらんとな。
        銀の剣は僕が使うとして、銀の大剣、勇者の剣、守りの剣を売っておくから」
ロドルバン 「よし、俺は勇者の剣をもらうぜ」
ラドネイ  「それは私のものよ」
トリスタン 「フッ、お前達には過ぎた武器だ。私がもらっておこう」
セリス   「ま、好きに決めなよ」
ロドルバン 「戦いの主力はやっぱりソードファイターだろ」
トリスタン  「再移動も出来ないものがなぜ主力になれるものか」
ラドネイ  「あんたなんか追撃すらないだろ!」
トリスタン  「だからこそ勇者の剣が役に立つ」
ロドルバン 「お前はもう二軍落ちでいいだろ」
ディムナ  「いや、皆もう少し落ち着いて」
三人  「ディムナは黙ってろ」
ディムナ  「あう……」
マナ     「兄さん……立場低いのね」
トリスタン  「……で、戦力の有効活用のためには私が連続攻撃を出来ることが望ましい」
ラドネイ   「中途半端な戦力なんて必要ない。私が最強の剣士になればそれで十分」
マナ     「あ、でも……」
ラドネイ   「何、マナ」
マナ     「皆、銀の大剣や勇者の剣を買うお金、あるの?」
ロドルバン 「…………」
トリスタン  「…………」
ラドネイ   「…………」
セリス    「見事に無駄な争いをしていたようだな。さすが庶民」
ラドネイ   「……村、解放してくる」

マナ    「ねえ、ユリア」
ユリア   「………」
マナ    「ユリア?」
ユリア   「何」
マナ    「このリライブの杖、上げるから一緒に頑張ろうね」
ユリア   「クスクス……自分はライブしか持ってないくせに、見栄張って」
マナ    「ゆ、ユリア?」
ユリア   「もらっておくわ……クスクス」
マナ    「………」

  彼等が漫才をやっている間、ダナン王は二人の息子に反乱軍鎮圧を命じる
  ラドネイに惚れている二人の息子だが……

マナ     「ヨハンさんとヨハルヴァさん、どっちが好きなの、ラドネイ」
ラドネイ   「どっちも嫌いだが……。虫唾が走るような男ばかりだ」
ロドルバン 「お前の男嫌いにも困ったもんだな。ヨハンやヨハルヴァの気が知れないよ」
マナ     「セリス様とかにも虫唾が走るの?」
ラドネイ   「身内のロドルバンはともかくセリスは童顔で性格最悪。
        トリスタンは顔はいいけどナルシストの上、腹黒いし、ディムナはディムナだし」
ディムナ  「おい、なんだよそれは」
トリスタン  「私が腹黒とは馬鹿なことを。私がアグストリアの王位簒奪を狙っているとでも言うのかね」
ロドルバン 「狙ってるのかよ……」
ラドネイ   「そしてオイフェはおっさん。まともなのはシャナン王子だけ」
ディムナ  「男嫌いって言うより単に望みが高すぎるんじゃ……」
マナ     「それで、ヨハンさんとヨハルヴァさん、どちらか一人だけ選ばなきゃ。どうする?」
ラドネイ   「ギャグキャラのヨハンよりはヨハルヴァのほうがまだましか……」
マナ     「セリス様、ヨハルヴァさんに決定しました」
セリス    「は? ヨハンに決めたんだけど」
マナ     「え?」
セリス    「オーラよりはリザイアのほうが使えるからね。じゃ、頼むよラドネイ」
ラドネイ   「私の意思は?」
セリス    「庶民にそんなもんあるわけ無いだろ」
ラドネイ   「あのな・・・・・・」
セリス    「別にいいだろ。どっちでも大して変わらないし」
ラドネイ   「それはそうだが」
ヨハン    「おお、ラドネイ! 我が運命の日は来たり」
ヨハルヴァ 「ああっ、兄貴! 抜け駆けしやがったな」
セリス    「リザイアのためだ。我慢して死ね、ヨハルヴァ」
マナ     「ヨハルヴァさん可哀想……」
セリス    「それにしても、ラクチェでもラドネイでも別に変わらないんだね、この二人。
        単純って言うか、やっぱり斧だから?」
レックス(霊)「斧だからとか言うな」
ヨハン    「愛のため、ラドネイのため、私は戦う!」
セリス    「頑張れよ、このマップが終わったら二度と出撃できない運命だからな」
ラドネイ   「はっきり言いすぎだ、セリス」
セリス    「ラドネイにはこういうイベントがあってロドルバンは何もなしか。
        兄の方が地味なのもスカサハと同じだな」
ロドルバン 「だから誰だよそれは」
セリス   「さて、ソファラ城の制圧だ。ユリア、リザイアあげるから」
ユリア   「いずれセリス様にこの魔法をかける・・・・・・ククク」
セリス   「ん? おかしいな、オーラが見つかった」
ユリア   「間違えたのね……リザイアはイザークよ」
セリス   「仕方ない、そっちまで待つか」
ユリア   「クスクス……ヨハルヴァ、
無駄死に……」
セリス   「しっかしこんな山奥の城なんて交通も不便だし、何のためにあるんだろ」
ホリン(霊)「俺の故郷を悪く言うな」

 

 

 

3、イザーク解放

ヨハルヴァをあっさり(無駄に)殺した反乱軍
と、ちょうどそのころ、一頭のペガサスが……

フェミナ  「ふう。ちょっとペガサスをやすませないと」
アミッド   「わざわざこんな戦場で休ませなくてもいいだろ」
フェミナ  「大丈夫。近寄らなければいいもん」
アミッド   「それにしても便利だな、ペガサスって」
セリス   「おい」
フェミナ  「え? なに?」
セリス   「君たちが次の仲間かい。アーサーとフィーの代わり?」
アミッド   「あーさー? ふぃー?」
フェミナ  「確かにボクはセリス軍に加わるつもりだけど……」
アミッド   「俺は妹のリンダを探してる」
セリス   「で、君たちも庶民なんだね。スキルは?」
アミッド   「連続」
フィー    「連続」
セリス   「突っ込む気力すらなくなってきたよ」
アミッド   「でも俺は庶民じゃないぞ。聖戦士の血を引いてる」
セリス   「本当に?」
アミッド   「雷系のランクがアップする、フリージ家の血だ!」
セリス   「で、君のクラスは?」
アミッド   「風の魔法しか使えないウインドマージ」
セリス   「頭おかしいのかこの庶民」
アミッド   「庶民じゃないって……」
セリス   「しかもウインドしか持ってないし。
ダメだこいつ」
アミッド   「そんなことは無い! 三つの魔法系統の中で一番強いのが風だぞ」
セリス   「エルウインドでも持ってからほざけ」
アミッド   「む……たとえなんといわれようとも、今、セリス軍で一番の魔術師は俺だ!」
セリス   「他に誰もいないだけだろうが」
フェミナ  「で、ボクの方は一軍に入れてもらえるのかな?」
セリス   「ん? ああ、ペガサスね。ペガサスは重要だよ。だから一軍」
フェミナ  「なんか引っかかる言い方だなあ」

  そして次の戦いへ……

オイフェ  「セリス様、息子の失態を見て、ダナンがシュミット隊を派遣してきました」
ヨハン   「ああ! 私のイザーク城がシュミットに占領された」
セリス   「構わん」
ヨハン   「構ってくれ!」
ラドネイ  「無駄だ」
セリス   「よし、迎え撃つぞ。所詮斧だ。剣を持ってる奴等は盾になれ」
シュミット隊「死ね、反乱軍!」
ロドルバン 「うわっ!」
ラドネイ  「クッ!」
トリスタン 「やるッ!」
セリス   「お前等……」
ディムナ  「脱力感たっぷりだね」
オイフェ  「セリス様、気を取り直していきましょう」
セリス   「うん……」
シュミット  「覚悟しろ、反乱軍」
セリス  「うるせー(銀の剣・必殺)」
シュミット  「馬鹿な……」
マナ    「凄い、セリス様!」
セリス   「はあ。本当なら皆これくらいの真似は簡単に出来るはずなのに……」

  イザーク城を取り戻して、さらに進軍

セリス   「はい、ユリアにリザイア。それからシュミットから奪った勇者の斧、売っておくか」
ヨハン   「この私が華麗に有効活用しよう」
セリス   「闘技場だけでな」
トリスタン 「私は勇者の剣を買っておこう」
ラドネイ  「ああっ! 抜け駆けなんて!」
トリスタン 「フフフ……これこそいずれはアグストリアの王となる私にふさわしい武器」
ラドネイ  「一介の騎士が王なんてなれるとでも思ってるのか?」
トリスタン 「手はある。うまくすればレンスターも……」
ロドルバン「やれやれ、アクの強い奴等は大変だ。なあ、ディムナ」
ディムナ  「………」
ロドルバン「ん? ディムナの奴、何をコソコソしてるんだ? ………!」
ディムナ  「久しぶりだね、カレン」
カレン   「ディムナ、解放軍に加わったんだ……」
ロドルバン「あ、あいつまさか……」
カレン   「これ、おまもり。気をつけてね」
ディムナ  「うん、ありがとう」
ロドルバン「ディムナ……」
ディムナ  「え? ロドルバン、見てたのか」
ロドルバン「ディムナ、お前彼女いんの?」
ディムナ  「か、彼女ってゆーか、まあ……」
ロドルバン「…………」
ディムナ  「あ、御守りもらったんだ。つけてると力が5もアップする」
ロドルバン「ひょっとして
俺が一番地味なのか……ディムナよりも」
セリス   「さて、後はダナン王を倒すだけだ。そうそう、村は解放して置くように」
フェミナ  「あっちの村で、スキルリングが手に入るらしいけど、ボクがとっていいかな」
セリス   「ああ。君の能力値じゃあ敵に攻撃を当てることすら難しいからね」
フェミナ  「……ま、事実だけどさ」
セリス   「僕も村を開放してみるかな」
村人    「おお! セリス様。ありがとうございます。お礼に私の娘を嫁として……」
セリス   「冗談抜かすな庶民ごときが」
村人    「………」
ディムナ  「セリス様はああいう人だから、お前も身分違いの恋はやめた方がいいぞ、マナ」
マナ    「反論の余地ぐらい残して……」
ディムナ  「僕に言うなよ」

  そしてダナン王のいるリボーの城

ダナン   「お前がセリスか!」
セリス   「お前がダナンか。レベル上げを手伝ってもらおう」
アミッド  「セリス軍最強の魔道士、アミッドの役に立ってもらうぜ!」
ディムナ  「僕もね。何しろ攻撃力が5も上がってるから、これから主力になれる」
トリスタン 「勇者の剣のサビにしてくれよう」
フェミナ  「あーあ。手槍ぐらいもってくれば良かった」
ダナン   「お、お前等……」
オイフェ  「しばらくレベル上げですな。生かさず殺さず」
ヨハン   「これも罪の報い。父よ、生まれ変わる時は愛に目覚めるのだぞ……」
セリス   「ところでヨハン、お前の部下、何もしないくせに周りをうろついてて、うっとおしいぞ」
ヨハン   「NPCは敵城突入が出来ないのだ。仕方ない」
ラドネイ  「で、お前が私の周りをうろついてるのはその7倍ぐらいうっとーしーんだが」
ヨハン   「それは愛ゆえだ。仕方ない」
ラドネイ  「ほざくな漫才男!(バキッ!)」
ロドルバン 「おお、ヨハンが空を飛んだぞ」
フェミナ  「珍しいね、ペガサスにも乗らずにさ」
ヨハルヴァ(霊)「いい気味だ」
ラドネイ  「今ので力がアップした気がする」
セリス   「ラドネイにはこんなイベントがあるのか。
おかげでますますロドルバンの影が薄いな」
ロドルバン 「まさか……俺ってセリス軍で一番、影薄い……?」
アミッド   「魔法でも覚えたらどうだ?」
ロドルバン 「無茶言うな……」
セリス   「さて、全員レベル10前後になったところで次に進むか」
ダナン   「グフッ、ブリアンよ、後を頼む……」
ラドネイ  「ブリアン?」
ヨハン   「私の兄だ。スワンチカの継承者でもある」
ラドネイ  「どうせ仲間になるならそいつの方が良かったな」

  イザーク全土解放。そして……

レヴィン  「よくやった、セリス」
セリス   「当然だね。庶民の所為でてこずったけど」
レヴィン  「セリスよ。お前はグランベルの皇子として戦わねばならん」
セリス   「わかってるって。世界の覇者は僕以外には考えられないよ」
レヴィン  「そして神の意思が……」
セリス   「僕の世界征服は神様も認めてくれるってことだろう? 分かってるよ」
レヴィン  「………」
セリス   「どうかした?」
レヴィン  「いや、もはや何も言うまい」

  第六章、終了

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