ポケモンバトルレボリューション

 
ポケモンバトルレボリューション

 いい歳こいて
ポケモン・ゲットだぜ!
 と、いうわけでWiiの看板、ポケモンバトルレボリューション(PBR)です。

 そもそもポケモンというゲームには二つの側面が有りまして
 一つは子供達の友としてのロールプレイングゲーム・ポケモン。
 女の子は可愛いポケモンのグッズをねだり、男の子は伝説のポケモンをレベル100まで育てて
俺様最強伝説を創り上げます。
 全く、和やかで微笑ましい、子供達の世界です。

 が!

 ポケモンのもう一つの顔。
 それは、格ゲーマーも真っ青のやりこみ対戦ゲームなのです。

 同じレベル(普通は50)のポケモン同士を規定数(多くは3体)育成し、バトルさせる。
 ただそれだけの単純な仕様なのですが、これに育成理論、強ポケモンへの対応策、対人戦の読み合い、そして個人的な特定ポケモンへの思い入れなどが絡み合い、
異様なまでに熱くドロドロした戦いが日夜繰り広げられているのです。
 
 一つ例を挙げれば、ゲームの仕様として「同じポケモンでも、個体によって微妙に強さが違う」というのがあります。
 具体的には、HP、攻撃、特殊攻撃、防御、特殊防御、素早さの五つの能力がそれぞれ32段階に分かれているため、例えば同じピカチュウでも、全てにおいて最高のピカチュウを手に入れようとすれば、1/32の5乗という、トンでもない確率を制さなければなりません。
 さらにポケモンには25種類の「性格」があり、これによって特定の能力が10%分、上がったり下がったりするため、理想のポケモンゲットはさらに困難になるわけです。

 もちろん、マトモにその可能性にかけるのはあまりに無謀であるため、一流のトレーナーたちは良い能力を持つポケモン同士に
子供を生ませ、その中から出来の良い子供のみをピックアップして、出来の良いもの同士でまた子供を作らせ…と、みんなの友達、ぼくらのピカチュウにとってはあまりに過酷過ぎる試練を課し、ようやくお望みのポケモンをゲットするのです。

 この作業は実に単純、かつ時間のかかる作業であり、これにこだわり続ける人は俗に「廃人」と呼ばれたりもします。

 さらに「育て方」によってポケモンの能力は大きく変化し、覚えさせる技(4つしか覚えられないので選別は超重要!)によっても戦力は上下します。
 特に素早さについては
「自分が育てるポケモンの天敵に当たるポケモンを最も素早く鍛えた場合よりも1だけ素早さが高くなるように育てよう」といった計算しつくされた育成はもはや基本中の基本であり、攻略サイトには明らかに小学生お断りの雰囲気が流れていたりもします。

 そうして、トレーナーの愛情と
愛情以外の何かを大いに注ぎ込んで育てたポケモンであっても、やはり種族の壁を乗り越えることは難しく、どう足掻いても勝てない相手と言うのは存在します。
 相性が悪くて勝てない、といった場合なら仕方ないのですが、明らかに相手のポケモンが「問答無用に強いポケモン」としてデザインされている場合が問題。
 攻略系掲示板では「そんな明らかに優遇されたポケモンばっかり使って勝って楽しいのか?」とか「弱いポケモン使う奴なんて、負けたときの言い訳作ってるだけだろ?」とか、
小学生お断りの雰囲気を醸し出しつつ小学生レベルの口喧嘩が繰り広げられる のも日常茶飯事。この辺は格闘ゲームに近いですね。

 そんなポケモンの対戦を、Wi-fiを通してお手軽に行えるようにしたのがPBR。
 接続している相手からランダムに対戦相手が選ばれ、手持ちの6体のポケモンを見せ合った上で3体を選んでバトル開始!
 今までは知っている人としか対戦できなかったために「育てるだけ育てたけど、対戦相手は見当たりません」という社会人トレーナーは大満足。

 なのですが、要するに純情な子供たちと鬼のようなゲーマーがランダムに混ぜこぜになって戦うわけで、伝説ポケモンオンパレードの小学生(ゲーマーは伝説ポケモンを自粛することが多い)と、拘りの通常ポケモンを最高にまで鍛え上げた廃人との熱い戦いが繰り広げられることになるわけです。

 伝説のポケモンとはいえ、育て方が適当では、鍛え上げた通常ポケモンに劣る存在。こういう対決は9割9分9厘、ゲーマーの勝利に終わります。
 今はゲーマーも小学生も混ぜこぜですが、この状況が続くと小学生たちが手を出せなくなるのでは? と、一抹の不安を抱いてみたり。
 
 他にも、対戦時のルールが変更できないことや、対戦以外のゲーム本編に魅力が無いことなど、かなりの課題を残しているゲームと言えます。
 肝心の「3Dで動くポケモン」についても、イマイチ動きにキレが無いというか…相手の攻撃を避けるときのモーションまでキッチリ作って欲しいなあ。
 それでも、身近に対戦相手のいないゲーマーには重宝なモノですので、そういう人なら買う価値はあるでしょう。

 とりあえず、ミニリュウ、ハクリュー、カイリューの趣味パを使う「ハルベエ」なるトレーナーとであったらどうぞよろしく、ということで。